エジプト古王国

エジプト古王国

エジプト古王国は、紀元前2686年頃から紀元前2185年頃にかけて続いた、古代エジプト史における重要な時代です。通常、これは第3王朝から第6王朝までの期間を指し、古代エジプト人が初期王朝時代とこの時代を明確に区別していたわけではありません。この時期は、古王国を形成するための国家制度や行政機関の整備が進められ、特にピラミッドと太陽神殿の建設が象徴的な出来事とされています。

古王国の始まり

古王国の始まりは、サナクト王が王位に就いたことに由来しています。彼はエジプト第2王朝の王女を妻として迎え、紀元前2686年頃に第3王朝を開きました。この時期、首都メンフィスに置かれ、古王国時代を代表する数々の建造物が築かれる基盤が整いました。

第3王朝の新たな試み

古王国初期の第3王朝（紀元前2686年〜紀元前2613年）では、エジプトで初めてのピラミッドが建設され、葬祭のための新しい形式が確立されました。特に、サッカラに建てられたジェセル王の階段ピラミッドがこの時代の代表的な建造物です。また、ヒエログリフにおいて王名を囲むカルトゥーシュも初めて使用され、この後も長い間使われ続けました。

ピラミッドの発展

第4王朝（紀元前2613年〜紀元前2498年）の間には、著名なギーザの大ピラミッドが建設され、古代エジプトの最も有名な王たちが登場します。クフ、カフラー、メンカウラーの三王は、後の歴史家や作家たちに語り継がれ、王朝の力と繁栄の象徴となりました。この時期、ピラミッドの様式は進化し、階段状から真正ピラミッドに変化しました。

第5王朝と太陽神殿

第5王朝（紀元前2498年〜紀元前2345年）では、ピラミッドの規模が定型化し、特大のものは登場しなくなりますが、太陽神殿の建設が盛んになりました。この神殿は太陽神ラーのために祭られ、王の名には「ラーの子」という称号が追加されます。王族中心から、非王族の有力者が重要な役職に就くようになり、行政機構の細分化が進みます。

第6王朝の延続と衰退

第6王朝（紀元前2345年〜紀元前2181年）では、ピラミッド建設は続きますが、建築技術は徐々に衰退し、多くのピラミッドが現在見る形では崩落しています。この時期、方策としてピラミッド内部に呪文を書いた「ピラミッド・テキスト」が用いられ、冥界や復活の神オシリスへの信仰が重要視されるようになります。対外的には、経済的な資源を求める遠征も活発に行われました。

中央集権と州侯の台頭

第7王朝から第8王朝にかけては、中央政府の統治力が低下し、各地の州侯たちの権力が強まります。王の威光が失われる中で、州侯たちは独自の墓を造営し始め、行政機構の肥大化が進みました。これによりエジプトの統一が損なわれ、複雑な権力構造が形成されていきます。

建造物の遺構

古王国時代には、多くの著名なピラミッドが建設されました。第3王朝のジェセル王の階段ピラミッドをはじめ、草創期のピラミッドがサッカラやダハシュール、ギーザに分布しています。特に第4王朝では、クフ王の大ピラミッドが最も有名で、現在でもその姿を留めています。また、スフィンクスの存在も当時の芸術的な象徴です。

結論

エジプト古王国は、古代エジプトの文化と社会制度の基盤を形作る重要な時代であり、ピラミッドや太陽神殿の建設を通じてその力を実証しました。王権と行政制度の進展、そしてその後の変遷は、古代エジプトの歴史を語る上で欠かせない部分です。

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