ダビデ廟

ダビデ廟の概要

ダビデ廟（ダーウード廟）は、古代イスラエルの王ダビデが埋葬されたとされる場所で、シオン山に位置します。その歴史は12世紀に遡り、ユダヤ教の聖地として重要な位置を占めていますが、一部の歴史学者や考古学者はここが実際にダビデの墓であるかどうかに疑問を呈しています。

この廟は、ベネディクト会の聖母被昇天修道院の近くにあります。墓は、かつて存在したシオン教会の跡に位置しており、シオン教会はローマ帝国の後期に建設されたシナゴーグまたは東ローマ帝国の教会と考えられています。現在、この場所はディアスポラ・イェシィヴァという宗教学校によって管理されています。

巧みに歴史を紡いできたダビデ廟は、かつてモスクであったこともあり、その後、イスラエル建国によってシナゴーグに改修されました。この変遷により、イスラエルの宗教省はダビデ廟をユダヤ教の主要な聖地としての地位を与え、以降はここでのユダヤ教の礼拝が行われています。1948年から1967年にかけては、ダビデ廟がイスラエルで最も神聖なユダヤ教の聖地と見なされていました。

歴史的背景

初期の歴史

ダビデ廟の1階には、ダヴィドの墓とされる場所が存在し、ここは古代の礼拝所であるシオン教会の跡に位置しています。2階は、上の部屋として知られており、キリスト教徒の会衆の場とされてきました。

十字軍時代とフランシスコ会の支配

1332年に、フランシスコ会はその本部を廟の「上の部屋」に移しました。この土地は、スルタンナースィル・ムハンマドから3万ドゥカートで取得されたもので、聖地におけるローマカトリック教会の公式な代理人としての役割を担っていました。

モスクとしての利用

1429年、マムルーク朝のスルタンアシュラフ・バルスバーイは、フランシスコ会から廟の1階を奪い、その部屋をモスクに転用しましたが、翌年にフランシスコ会に戻されました。さらに1524年にはオスマン朝のスルタン・スレイマンによってフランシスコ会が追放され、廟はスーフィーのシェイフ・アフマド・ダジャーニに委託されました。

近代の緊張と論争

最近では、ダビデ廟はユダヤ教徒とパレスチナ人キリスト教徒の間での緊張が高まっている場所です。また、2012年には重要なイスラーム調のタイルが破壊される事件が発生しましたが、犯人は現在も不明です。イスラエル考古学当局は、その整備を行わないという決定を下しました。

このように、ダビデ廟は歴史的、宗教的な重みを持ちながら、さまざまな文化や立場が交差する場所としての側面を持ち続けています。正統性や文化的背景を含む多様な問題が絡むこの聖地は、今後の紛争や解決の可能性においても重要な役割を果たすでしょう。

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