上の部屋

「上の部屋」は、キリスト教の伝承において、イエス・キリストが弟子たちと「最後の晩餐」を共にした場所、そして聖霊が降臨したとされる場所として知られています。この場所は、「二階の広間」、「高間」、「セナクル」とも呼ばれ、イスラエルのエルサレムに存在すると伝えられています。

最後の晩餐と聖霊降臨

新約聖書によれば、イエス・キリストは十字架刑に処される前の晩に、12人の弟子たちと「過越の祭」の夕食、すなわち「最後の晩餐」を行いました。この時、イエスはパンを分け与え「これは私の体」、またぶどう酒を分け与え「これは私の血」と言い、自身の死後もこの儀式を行うように弟子たちに命じました。この出来事は、キリスト教徒にとって非常に重要な意味を持ち、教会では定期的にこの儀式が執り行われています。

また、イエスの死と復活後、弟子たちに「聖霊」が降臨しました。この出来事は「聖霊降臨日」と呼ばれ、キリスト教会の始まりとされています。復活祭やクリスマスと同様に、キリスト教における重要な記念日の一つです。

場所について

最後の晩餐が行われた場所については、新約聖書の『マルコによる福音書』に「用意された二階の広間」と記述されています。また、聖霊が弟子たちに初めて降臨した場所も同様に「上の部屋」と記されています。これらの記述から、最後の晩餐と聖霊降臨は同じ場所で行われたと考えられていますが、具体的に場所を特定できる記述は残されていません。

西方教会では伝統的に、エルサレムのシオンの丘にあるダビデの墓の建物内にある「セナクル」が、これらの出来事が起こった場所であるとされています。現在では、その場所は保存され一般公開されています。

様々な伝承

新約聖書の『使徒言行録』には、マルコとも呼ばれるヨハネが登場し、イエスの死と復活後には、イエスの教えの中心となったペトロが、地震で牢獄から解放された後に、マルコとも呼ばれたヨハネの母マリアの家に避難したという記述があります。これにより、「上の部屋」は最後の晩餐と聖霊降臨の場所だけでなく、マルコとも呼ばれたヨハネの母の持ち物であり、イエスの弟子たちの様々な活動に使われたという伝承が生まれました。例えば、以下の出来事がこの場所で行われたとされています。

イエスが弟子たちの足を洗った
最後の晩餐
イエスが復活後、弟子たちに姿を現した
キリストの昇天後、イエスが弟子たちに現れた
マティアが12使徒に加えられた
聖霊降臨

東方教会の伝承

東方教会のシリア正教会に属する聖マルコ修道院は、エルサレム旧市街のアルメニア人地区近くに位置しています。この修道院は、最後の晩餐が行われた「マルコとも呼ばれたヨハネ」の母の家であるとの伝承があり、修道院の教会内にはその旨の表示がされています。

参照項目

ダビデ廟
最後の晩餐
聖霊降臨

脚注

外部リンク

The Upper Room in Jerusalem: The Most Important Room in Christendom (Franciscan Media)
* Cenacle (Seetheholyland.net)

もう一度検索