ダブルタイヤ

ダブルタイヤ：大型車の頼もしい足回り

大型トラックやバスなど、中・大型自動車で頻繁に見かけるダブルタイヤ。これは、同一サイズのタイヤを2本並べて装着する形態で、複輪、ツインタイヤ、デュアルタイヤなどとも呼ばれ、アメリカ製ピックアップトラックではDRW（Dual Rear Wheel）やデューリー（Dually）という表記も用いられます。本記事では、ダブルタイヤの構造、採用理由、メリット・デメリット、そしてその応用事例までを詳しく解説します。

ダブルタイヤの構造と概要

ダブルタイヤは、主に後軸（駆動軸）に用いられ、1つの車輪に2本のタイヤを装着します。対して、1つの車輪に1本のタイヤを装着する形態をシングルタイヤと呼びます。

ダブルタイヤのホイールは特殊な形状をしており、車軸の内側と外側にそれぞれ1本ずつタイヤが装着されます。片方のタイヤがパンクしても、もう片方で走行を続けられるため、安全性に貢献します。スペアタイヤは、内側と外側のどちらにも使用可能です。前輪はシングルタイヤが多いですが、後輪と共通のホイールを使用するメリットから、同じ形状のホイールが使われることも少なくありません。

車両の駆動方式を表す表記（例：4×4、6×2）では、ダブルタイヤの2本は1つの車輪としてカウントされます。例えば、後輪2軸がダブルタイヤの車両は、タイヤの本数は10本ですが、表記上は6輪車となります。

ダブルタイヤの採用理由

ダブルタイヤの主な目的は、耐荷重性能の向上です。タイヤには耐荷重性能の限界（ロードインデックス）が定められており、車両の総重量がタイヤの耐荷重性能を超えてしまうと、運行できません。ダブルタイヤにすることで、1つのタイヤにかかる荷重を軽減し、より重い荷物を積載可能になります。

具体的には、左右各1輪で車軸にかかる重量が耐荷重性能を超える場合、ダブルタイヤにすることで、1輪あたりの荷重を半分に減らせます。これにより、車軸数を増やすことなく積載量を増やすことができます。

また、荷台の低床化を目的として採用されるケースもあります。この場合、後軸には前軸よりも小径のタイヤが使用されることが多く、スペアタイヤも前輪用と後輪用で異なるサイズを用意する必要があります。

さらに、農業機械のトラクターでは、不整地での接地圧を低減し、走破性を高めるためにダブルタイヤが用いられます。トラクターの場合、前軸にもダブルタイヤが装着されることが多いです。

ダブルタイヤのメリットとデメリット

シングルタイヤと比較すると、ダブルタイヤには以下のメリットとデメリットがあります。

メリット:

パンク時の安全性向上：片方のタイヤがパンクしても、もう片方で走行を続けられる。
低コスト：小型トラックでは、幅広シングルタイヤに比べてダブルタイヤの方が安価な場合がある。
低床化：同性能のシングルタイヤと比較して、タイヤ外径を小さくできるため、荷台を低くできる。

デメリット:

乗り心地の悪化：ばね下重量が増えるため、乗り心地や積荷への振動が悪化しやすい。
* 交換コストの増加：タイヤ交換費用が高くなる傾向がある。

まとめ

ダブルタイヤは、大型車の高い積載能力と安全性を支える重要な技術です。その構造や採用理由、メリット・デメリットを理解することで、大型車の設計や運用に関する理解が深まります。ただし、パンク時には速やかな対応が必要であり、常にタイヤの状態を確認することが重要です。 ダブルタイヤは、単なるタイヤの組み合わせではなく、大型車の安全と効率性を両立するための重要な要素であると言えるでしょう。

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