ダマスス2世 (ローマ教皇)

ダマスス2世は、11世紀にわずか23日間という短い期間ローマ教皇を務めた人物です。彼の本名はポッポといい、バイエルン出身でした。教皇に選出される前は、ブレッサノーネ司教として活動していました。

ダマスス2世が教皇に選ばれる背景には、当時の政治情勢が大きく影響しています。1047年のクリスマス、神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世は、ザクセンのポルテに滞在していました。その時、ローマ市民からの使者が皇帝のもとを訪れ、教皇クレメンス2世が死去したことを報告しました。当時、ローマのパトリキウス（貴族）でもあった皇帝は、教皇の後継者を任命する権利を持っていました。ローマ市民の使者は、リヨン大司教アリナールを後継者候補として推薦しましたが、ハインリヒ3世はポッポを後継者に選びました。

1048年1月、ハインリヒ3世はポッポを教皇に指名しました。当時のローマでは、前教皇ベネディクトゥス9世がラテラン宮殿を占拠しており、混乱した状況でした。ポッポはベネディクトゥス9世を追放した後、ローマに入城し、1048年7月17日にダマスス2世として教皇に就任しました。

しかし、ダマスス2世の教皇としての在位は、極めて短いものでした。就任からわずか23日後、避暑のため訪れていたパレストリーナで急逝しました。彼の遺体はローマのサン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂に埋葬されました。ダマスス2世の急死については、毒殺説やマラリアによる病死説など、様々な説が唱えられていますが、正確な死因は不明です。

ダマスス2世は、神聖ローマ皇帝によって指名された2人目の教皇であり、またドイツ人教皇としては3人目にあたります。短い在位期間でしたが、当時の教皇選出における政治的影響力を示す出来事として、歴史に名を残しています。

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