パレストリーナ

パレストリーナ：古代から現代まで続く歴史都市

イタリア共和国ラツィオ州ローマ県に位置するパレストリーナは、約22,000人の人口を擁する古都です。古代にはプラエネステとして知られ、アペニン山脈の麓、ローマの東、ティヴォリの南南東に位置する標高450mの地に栄えました。

古代プラエネステ：栄華と衰退

紀元前8世紀から7世紀にはすでに集落が存在したとされ、発掘された遺物からは、フェニキア、エトルリア、ギリシアなどとの交易があったことが示唆されています。共和政ローマとは同盟関係にあったものの、ガリア人との戦争後には敵対関係となり、ラテン戦争を経てローマの支配下に置かれました。紀元前90年にはローマ市民権が与えられましたが、その後ローマ内乱では激戦地となり、破壊と略奪に見舞われました。

しかし、ローマ帝国時代には、涼しい気候を活かして富裕層の避暑地として発展しました。アウグストゥス帝やティベリウス帝も滞在した記録があり、多くの別荘が建てられました。プラエネステを有名にしたのは、フォルトゥーナ神殿とそこで行われた神託です。この神殿は紀元前2世紀末にはすでに存在し、現在も一部の遺跡が残されています。

中世から現代へ：変遷と継承

313年にはキリスト教の司教座が置かれ、大聖堂が建設されました。中世には、コロンナ家とローマ教皇の勢力争いの舞台となり、幾度となく破壊と再建を繰り返しました。1448年にはステファノ・コロンナによって要塞化され、1630年にはバルベリーニ家に売却されました。ルネサンス音楽史に名を残すジョヴァンニ・ダ・パレストリーナはこの地で生まれました。

現代のパレストリーナは、古代フォルトゥーナ神殿があった高台に位置し、古代遺跡、大聖堂、神学校、そしてバルベリーニ宮殿など、歴史的建造物が観光資源となっています。

文化と観光

パレストリーナの主な観光スポットは、古代ローマ時代の遺跡です。フォルトゥーナ神殿のモザイク床はバルベリーニ宮殿で見ることができます。アルクス・プラエネスティナは、カステル・サン・ピエトロとして現在も残っています。1332年にコロンナ家が建設した宮殿と教会は、アラバスターと大理石で装飾された壮麗な建築物です。また、司教座、大聖堂、神学校（バルベリーニ宮殿を使用）も重要な文化的施設です。

パレストリーナゆかりの人物

パレストリーナには数多くの著名な人物が関わってきました。歴史家アイリアノス、作曲家ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナが当地の出身者として知られています。古代ローマの政治家ガイウス・マリウスはここで自害し、教皇ダマスス2世、ウルバヌス8世もこの地と深い関わりがありました。また、アメリカのミュージシャン、マーク・サンドマンが当地での公演中に亡くなったという出来事もあります。

パレストリーナの地理と気候

パレストリーナはローマの東に位置し、周辺にはアルテーナ、カステル・サン・ピエトロ・ロマーノなど複数の自治体と隣接しています。イタリアの気候分類ではzona E, 2141 GGに分類され、地震リスク階級ではzona 2Bに分類されています。

パレストリーナは、古代からの歴史、豊かな文化、そして美しい景観を兼ね備えた魅力的な都市です。その歴史と文化を肌で感じながら、静寂な山間の町を散策するのも良いでしょう。

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