ダミーサークルとは
同人誌即売会において、実質的な活動がないにもかかわらず、サークル参加(出展)の申し込みを行うサークルのことを「ダミーサークル」といいます。かつては「ダミー」や「ダミー申し込み」とも呼ばれていました。
概要
ダミーサークルは、正規サークルのように見せかけるために、簡単なコピー誌やペーパー、
便箋などを準備・展示することがあります。しかし、これらの頒布物は、必ずしもダミーサークルだけのものではなく、新刊が間に合わなかったなどの理由で、同様の形態をとるサークルも存在します。
そのため、頒布物の形態だけではダミーサークルかどうかを判断することは困難です。また、スペースが無人だった場合も、単なる遅刻や欠席の可能性も考えられます。
コミックマーケットでは、持ち込み部数が0部で、かつ事前に準備会に申し出がなかったサークルをダミーサークルと判断しています。
コミックマーケット45(
1993年12月)では、約1,200サークルがダミーサークルとされ、これは全参加サークルの約7.5%を占めていました。
ダミーサークルの問題点として、本来参加できるはずだったサークルが、その分だけ落選してしまうという不公平感があります。また、ダミーサークルが当選することで、本当に活動しているサークルの参加機会が奪われてしまうという問題も指摘されています。
ダミーサークルの動機
ダミーサークルが作られる主な動機は以下の通りです。
販売スペースの確保
1つのイベントで複数のスペースを確保する目的で、ダミーサークルが作られることがあります。特に、複数のジャンルの
同人誌を発行するサークルが、それぞれのジャンルでスペースを確保しようとするケースがあります。また、複数日にわたって開催されるイベントで、各日にそれぞれ申し込むこともあります。
ただし、複数のサークルが互いに
同人誌の頒布を委託し合ったり、開催時間や日が異なる場合には、作業を相互支援している場合も多く、単に同じ
同人誌が複数のスペースで頒布されているだけではダミーサークルと断定できません。
また、抽選倍率の高い即売会で、スペースを確保するためにダミーサークルが使われることもあります。多くの即売会では、1サークル・1代表者につき1スペースしか応募できませんが、複数のスペースが必要な場合、ダミーサークルを利用して複数スペースを確保しようとするのです。
ただし、サークルが2スペース分の費用を負担していたり、企画のために別途申請している場合は、主催者が複数スペースの確保を容認することもあります。
コミックマーケットでは、同一サークルでの複数スペース登録はできませんが、「合体申込」という手続きを利用することで、隣接した2つのスペースを確保することが可能です。
サークル通行証の確保・販売
ダミーサークルは、サークル通行証を確保し、開場前に入場するために利用されることもあります。サークル参加者は、頒布準備のために開場前に入場する必要がありますが、このサークル通行証を悪用して、一般参加者よりも有利に
同人誌を購入しようとする人がいるのです。
また、余った通行証が転売されることもあります。これはダミーサークルに限らず、通常のサークルでも見られる行為です。特に、
コミックマーケットのサークル通行証は高値で取引されることもあり、
ダフ屋に渡るケースもありました。
コミックマーケット準備会は、通行証の販売行為を禁止していますが、
インターネットオークションへの出品を完全に阻止することはできていません。
荷物置き場の確保
大量購入者や共同購入者、
コスプレイヤーが、荷物置き場を確保するためにダミーサークルを利用することもあります。特に、
コスプレイヤーは着替えなどで荷物が多くなるため、荷物置き場を確保するためにダミーサークルを利用することがあります。
「ダミーサークル」という名称で活動したサークル
1980年代後半には、「ダミーサークル」という名称で活動するサークルが実際に存在しました。このサークルは、机に本を並べず、「本なんか出るわけないじゃん」と書いた紙を貼るなど、一見するとダミーサークルのように見えました。
しかし、「『本なんか出るわけないじゃん』をください」という暗号を伝えると、奥から『本なんか出るわけないじゃん』というタイトルの本が出てくるという「お遊び」を仕掛けていました。このサークルには、
あさりよしとお氏など著名な執筆者が多数参加しており、
同人誌のクオリティも高かったと言われています。
まとめ
ダミーサークルは、
同人誌即売会において、スペースの確保や通行証の入手など、さまざまな目的で利用されています。しかし、その存在は、本来参加できるはずのサークルを締め出し、不公平感を生み出してしまうという問題があります。また、通行証の不正販売など、イベントの運営を妨げる行為にもつながっています。
即売会に参加する際は、ルールを守り、お互いを尊重する気持ちが大切です。
関連項目
*
CLAMP - もともとは、
高河ゆんのために、主催側が用意したダミーサークルであった。