ダム広場

アムステルダムの心臓部：ダム広場

オランダの首都アムステルダムの中心部に位置するダム広場は、その名の通り、かつてアムステル川に設けられた堰があった場所です。この堰こそが、アムステルダムという都市の誕生と発展の礎となり、現在もその歴史的中心地として人々を惹きつけています。アムステルダムという地名も、このダム（堰）に由来すると言えるでしょう。

広場の配置と周辺環境

アムステルダム中央駅から南へ約750m、旧市街の中心に位置するダム広場は、南北約100m、東西約200mの長方形をしています。広場を挟んで、北にはダムラック通り、南にはローキン通りが伸びており、これらはかつてアムステル川が流れていた河道を埋め立てて造られた道路です。これらの道路によって、ダム広場は東西に二分されています。東側には、第二次世界大戦の戦没者を追悼する記念塔が静かに佇んでいます。

西側には、かつてアムステル川左岸の自然堤防上にあった、ニューヴェンダイク通りとカルファー通りが伸びています。現在ではどちらも歩行者専用道路となっており、両脇には活気のある商店街が軒を連ねています。

広場の西側には、オランダ王室の居城である王宮が威容を誇ります。これは、元々はアムステルダムの市役所として建設された建物です。王宮の北側には、新教会がその荘厳な姿を現しており、歴史を感じさせる重厚な建築物が、この広場の風格を高めています。さらに、広場の南側にはマダム・タッソー蝋人形館があり、北東側には有名な百貨店、デ・バイエンコルフが建ち並んでいます。

歴史の息吹：ダム広場の変遷

1270年頃、アムステル川の河口近くに堰が築かれたことにより、アムステルダムの町は誕生しました。川の両岸が結ばれ、人々が集まり、次第に町は発展していったのです。ダム広場は、当初は小さな堰の周囲に過ぎませんでしたが、やがて舟付き場近くに魚市場が設けられるようになり、商業の中心地として発展を遂げました。オランダが独立を果たした後の1655年には、市役所（現在の王宮）が建設され、ダム広場は市政の中心地としての役割も担うようになりました。

商業の中心地として不可欠だった計量所は、1808年、ホラント王となったルイ・ボナパルトの命令によって取り壊されました。王宮からの眺望を妨げるという理由からです。

19世紀にはアムステル川の旧河口であるダムラックが埋め立てられ、1837年には証券取引所が建てられました。しかし、1903年に取引所は北に移転し、取り壊されると、その跡地には1914年にデ・バイエンコルフが開店しました。

1856年から1914年までは、対ベルギー戦争を記念する「統一」という像がダム広場にありました。19世紀末には、馬車軌道網がダム広場を中心に敷設され、広場はアムステルダムの交通の中心地となりました。しかし、20世紀に入ると、その役割はアムステルダム中央駅へと移っていきました。

1956年には、戦没者記念塔が建立され、毎年5月4日の戦没者追悼式典がここで行われています。現在も、ダム広場はアムステルダムの中心地として、人々の生活と歴史を繋ぐ重要な場所であり続けています。

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