堰

堰についての詳細

堰（せき）は、河川の水流を制御する目的で作られる構造物の一つで、ダムとは異なり堤防としての機能を持たないものを指します。河川を横断する形で設置され、主に水位を調整したり、水を貯留したり、農業用水や工業用水の取水を容易にするために利用されます。特に農業工学においては、取水堰や付帯施設（例えば、沈砂池や舟通しなど）を通じて、河川や湖沼から用水路へ農業用水を引き込む役割が果たされています。

堰の機能

堰の主な役割は、河川の水位を上げることで水を集めたり、計画的に水を分流したりすることです。また、海水の逆流を防ぐために設置されることもあり、これにより潮汐の影響を抑えることで農地や水源を守る効果もあります。堰は利水を目的とするものであり、特に可動堰は水の流れを柔軟に制御できるため、治水などの多目的での活用が可能です。

堰は堤防機能を持たないため、水門と明確に区別されます。水門は洪水時に閉門して水をせき止める機能を持つ一方、堰は水を迅速に流下させ、氾濫を防ぐ役割を担っています。このため、堰と水門は構造的に似ていてもその機能において異なります。

堰とダムの違い

堰は一般に堤高15メートル未満のものとされており、ダムはその高さが15メートル以上の場合を指します。この区分は1964年に改正された新河川法によるもので、堰は通常、河川の管理目的に適したものとして位置付けられています。一部の例外を除き、ダムは水をせき止めることが主な機能です。

堰の種類

堰はさまざまな形式や用途によって分類されます。

形状による分類

• - 刃形堰、広頂堰、越流堰、フリュームなどで分類されます。特に、常に水が堰を越流するタイプの堰は「洗堰」と呼ばれることもあります。

用途による分類

• - 取水堰：灌漑や工業用水を引き入れるための堰。水位を調整します。
• - 河口堰：潮止めなどの役割を持つ堰です。

構造による分類

• - 固定堰：水位の調整ができない堰で、古くから存在していますが、洪水時には流れを妨げる可能性があります。これに対し、可動堰はゲートの開閉により水位を調整でき、流量を自在に制御できるため、洪水時にも適切に対応できます。可動堰は、起伏堰や引上堰に分類され、特に引上堰は実用的で信頼性が高いです。

主な堰の種類

• - 固定堰、可動堰、頭首工・取水堰、多目的堰・河口堰、ラバーダムなどが挙げられます。

そのほか、仮設堰として知られる投渡堰は、増水時には流されるため、固定的な設置が難しいものの、臨機応変な対応が求められます。これらの多様な堰は、灌漑や水道供給、工業生産など、さまざまな場面で欠かせない存在となっています。

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