ダリア・ビロディド

ダリア・ビロディド：ウクライナの柔道界を彩るスターの軌跡

ダリア・ヘンナディイヴナ・ビロディド。2000年生まれのウクライナ出身の柔道家であり、その名は世界中に知れ渡っている。57kg級で活躍する彼女は、172cmの長身と、内股、大内刈、そして崩上四方固を得意とする。幼少期から類まれな才能を発揮し、数々の栄光を掴み取った彼女の歩みをたどってみよう。

柔道一家に育ち、世界の舞台へ

ビロディドの父は、2005年の世界[[柔道選手権大会]]で3位入賞の実績を持つゲンナジー・ビロディド。両親は共に彼女のコーチを務め、特に母親であるスビトラーナ・クズネツォワは、彼女の柔道人生に大きな影響を与えてきた。当初、父親は娘に柔道をさせようとは考えていなかったという。しかし、ビロディドは6歳で柔道の道へ進むと、幼少期からその才能を開花させた。男子とも臆することなく喧嘩するほどの気性だったという逸話は、彼女の強靭な精神力を物語っているだろう。8歳からはヨーロッパ各地の国際大会に出場し、早くから国際的な舞台を経験した。

若き才能の開花と驚異的な活躍

2015年、わずか14歳で世界カデ選手権を制覇。これは、朝比奈沙羅に次ぐ史上2番目の若さでの優勝だった。日本での稽古経験を活かし、日本選手の特徴を熟知していたことも強みとなった。その後も、階級を上げてヨーロッパカデ、ヨーロッパジュニアで優勝するなど、その才能は着実に開花していく。2017年にはキエフ大学のジャーナリズム学部に入学する傍ら、柔道に打ち込む日々を送った。

2017年から2018年にかけては、ヨーロッパ選手権優勝、グランプリ優勝など、数々の国際大会で優勝を重ね、その勢いはとどまるところを知らない。そして迎えた2018年世界選手権。17歳という若さで、田村亮子の記録を更新する史上最年少での世界チャンピオンに輝いた。この快挙は、ヨーロッパの選手としては1991年以来の快挙でもあった。

連勝記録と世界女王への道

2017年11月から2019年3月まで、国際大会で38連勝という驚異的な記録を達成。その強さは、多くのライバルたちを圧倒した。2019年の世界選手権では、前年に続き渡名喜風南を破り、世界女王の座を死守。東京オリンピックを翌年に控え、「東京オリンピックで優勝することを夢見ている」と語った彼女の言葉には、強い決意が込められていた。

しかし、彼女の柔道人生は順風満帆ではなかった。世界選手権でのスペイン選手との試合で相手の髪を掴んだ行為は、大きな批判を招いた。ビロディド自身もその行為を深く反省し、謝罪している。

東京オリンピックとその後

東京オリンピックでは、準決勝で渡名喜に敗れ、金メダル獲得とはならなかったものの、3位決定戦を制し、銅メダルを獲得。父親が果たせなかったオリンピックでのメダル獲得という偉業を達成した。

その後も、世界選手権やグランドスラム大会などで活躍を続けるものの、思うような結果を残せない時期もあった。2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、彼女にも大きな影響を与えた。避難生活を送りながらも、柔道への情熱を失うことなく、ウクライナへの支援を呼びかけるなど、アスリートとしての活動と社会活動の両立に努めている。

モデルとしてのオファーを断り、柔道に専念

彼女の美貌とスタイルから、いくつかのモデルエージェンシーから誘いがあったものの、ビロディドは柔道に専念するためそれらを断った。彼女は常に「一番でありたい」という強い意志を持ち、柔道に人生を捧げている。

多様な活動と将来への展望

日本のマネジメント会社との契約、観光親善大使への就任、スポンサー契約など、多方面で活動の場を広げているビロディド。ドキュメンタリー映画『アナコンダ』の制作、インスタグラムでの発信など、柔道以外の活動でも高い人気を誇る。

2024年パリオリンピックではメダル獲得とはならなかったものの、その輝かしい経歴と、柔道への揺るぎない情熱は、多くの人々に感動と勇気を与え続けている。今後の活躍にも目が離せない。

主要戦績

彼女の戦績は輝かしいものだ。44kg級、48kg級、そして57kg級と階級を上げながら数々の優勝を飾り、世界カデ、世界ジュニア、世界選手権と3つの世界タイトルを獲得した。東京オリンピックでの銅メダルも、彼女の実力を証明している。

まとめ

ダリア・ビロディドは、若くして数々の偉業を達成した、類まれな才能を持つ柔道家だ。困難な状況の中でも柔道への情熱を燃やし続ける彼女の姿は、多くの人々にとって大きな希望となるだろう。彼女の今後の活躍が、世界中の人々から注目されている。

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