ダロス

OVA『ダロス』の概要

『ダロス』（DALLOS）は、1983年12月に発売された日本初のオリジナルビデオアニメ（OVA）です。この作品はスタジオぴえろにより制作され、販売はバンダイ（現在のバンダイナムコアーツ）によって行われました。『ダロス』は全4巻から成り、初回の第1巻は1万本が売れ、総計で約2万本に達しました。この作品は、当時のビデオソフトが高額であった中、6800円という価格で発売され、業界の注目を集めました。この成功により、OVAという新しいジャンルの歴史と市場が形成されることになりました。また、監督の鳥海永行による小説版も1984年に出版されています。

企画経緯

『ダロス』の制作は、当初、打ち切りが決まっていた『魔法のプリンセス ミンキーモモ|魔法のプリンセス_ミンキーモモ』の次の番組として着手されました。バンダイからの要請に基づき、アニメ制作会社4社に提案された企画の一つでしたが、結局は『ミンキーモモ』の後番組としての道路は閉ざされました。その後、キャラクター商品の展開が難しいとの理由からテレビアニメ企画は頓挫し、バンダイがセルビデオレーベル「EMOTION」を立ち上げた際、再度ビデオ企画としての流れが発生しました。

設計に当たっては、鳥海と押井守の二人の監督が立てられました。鳥海が先に作業を始め、後から押井が加わりましたが、二人のビジョンや演出方針が異なり、制作現場は混沌と化しました。両者は話し合いを重ね、最終的にはストーリーラインを鳥海が担当、戦闘やアクション演出に押井が関わる形に落ち着きました。

あらすじとテーマ

舞台は21世紀の末、地球連邦政府が宇宙開発を進める中、月に新たな都市『モノポリス』を建設しました。しかし、月面開拓民は冷遇され、厳しい監視下で生活を強いられています。そんな中、彼らの心の拠り所となるのは、巨大な機械構造物「ダロス」です。この不思議な存在は、人々に神同然の尊敬を受け、月で生まれた若者たちは、そのダロスの存在に目を向けるようになります。

物語はルナリアンの少年シュン・ノノムラと彼の幼馴染レイチェルを中心に展開し、彼らは独立運動に巻き込まれていくことになります。シュンは地球との関係に無関心で、彼の家族が被害を受けた後、より反抗的になっていきます。

登場人物と彼らの関係

シュン・ノノムラは、機械いじりが得意な17歳の少年で、地球連邦政府とルナリアンとの対立の中で成長していきます。彼の幼馴染のレイチェルは、彼に想いを寄せているものの、シュンの行動によって関係が揺れ動きます。

地球連邦軍のアレックス・ライガーは、ルナリアンに対する厳しい政策を推進しており、シュンにとっての最大の敵となります。彼の恋人であり、人質となるメリンダ・ハーストは、物語の中で重要な役割を果たします。

一方、独立運動のリーダーであるドグ・マッコイや、彼の仲間たちは、正義と自由のために戦い続けます。その中で、ルナリアンが抱える心の葛藤が浮き彫りになり、彼らは個々の信念に基づき選択を迫られることになります。

影響と評価

『ダロス』は、その革新的な内容と、OVAという新しいメディア形式の確立に寄与したことで、アニメ業界に大きな影響を与えました。ストーリーやキャラクターの深さ、複雑な人間関係は今なお多くの視聴者に愛されています。作品のテーマも、当時の社会情勢を反映しており、多くの人々に思索を促す内容となっています。

このように、『ダロス』は単なるエンターテインメントを超えた、深い意味を持つ作品であり、アニメの歴史の中で重要な位置を占めています。

もう一度検索