ダン・ブリックリン

ダニエル・S・ブリックリン：表計算ソフトVisiCalcの生みの親

ダニエル・S・ブリックリン（Daniel S. Bricklin, 1951年7月16日 - ）は、アメリカ合衆国の著名なコンピュータ科学者であり、ボブ・フランクストンと共に世界初のパーソナルコンピュータ向け表計算ソフトVisiCalcを開発したことで知られています。彼の革新的なアイデアは、ビジネスの世界に大きな変革をもたらしました。

生い立ちと学歴

ブリックリンはペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、Akiba Hebrew Academyを経て1969年にマサチューセッツ工科大学（MIT）に入学しました。1973年には電気工学と計算機科学の理学士号を取得しています。MIT時代には、コマンドラインのカリキュレータ開発、APLの実装、LISPプロジェクトなど、様々なプロジェクトに携わり、プログラミングスキルを磨きました。

DECでの経験とハーバード・ビジネス・スクール

MIT卒業後、ブリックリンはDEC（Digital Equipment Corporation）に入社し、ワープロソフト「WPS-8」のプロジェクトリーダーを務めました。しかし、1976年にDECを退社し、1977年にハーバード・ビジネス・スクールに入学。1979年に経営学修士号（MBA）を取得しました。このビジネススクールでの経験が、後のVisiCalc開発に大きく貢献することになります。

VisiCalcの開発とSoftware Artsの設立

1979年、ブリックリンはMIT時代の友人であったボブ・フランクストンと共にSoftware Artsを設立し、世界初のパーソナルコンピュータ向け表計算ソフトであるVisiCalcの販売を開始しました。VisiCalcは瞬く間に大ヒットとなり、Apple IIの普及を後押しするほどの人気を集めました。ブリックリンは1985年にロータスに買収されるまで会長を務めました。

Software GardenとSlate Corporation

1985年、ブリックリンはSoftware Gardenを設立し、最初の製品として「ダン・ブリックリンのデモプログラム」を開発しました。1990年にはSlate Corporationを設立しましたが、1994年に閉鎖し、Software Gardenに復帰しています。

Trellix CorporationとInterland

1995年にはTrellix Corporationを設立し、2003年にInterland（現Web.com）に買収されました。ブリックリンは2004年までInterlandの最高技術責任者（CTO）を務めました。

受賞歴と栄誉

ブリックリンは、その功績が認められ、数々の賞を受賞しています。1981年にはグレース・マレー・ホッパー賞、2001年にはワシントン賞、2003年にはウォートン・インフォシス・ビジネス変革賞を受賞しました。また、1994年にはACM（Association for Computing Machinery）のフェローに就任しています。

現在の活動

現在はソフトウェア会社Software Gardenの社長を務める傍ら、Wikiシステムを利用したWebベースの表計算ソフト「wikiCalc」の開発に取り組んでいます。常に新しい技術に挑戦し、ソフトウェアの可能性を追求し続けています。

著書

Bricklin on Technology. (2009). Wiley Publishing. ISBN 978-0-470-40237-5

参考文献

スーザン・ラマース 著、岡 和夫 訳『実録！天才プログラマー』株式会社アスキー、1987年7月11日。ISBN 4-87148-363-0。

外部リンク

Dan Bricklin: The personal web site of the co-creator of VisiCalc (英語)
Software Garden (英語)

ダニエル・S・ブリックリンは、表計算ソフトVisiCalcの開発を通じて、パーソナルコンピュータの可能性を大きく広げたパイオニアの一人です。彼の革新的なアイデアと起業家精神は、現代のソフトウェア業界に多大な影響を与え続けています。

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