ダヴィッド・オイストラフ

ダヴィート・オイストラフ

ダヴィート・フョードロヴィチ・オイストラフ（David Fiodorovich Oistrakh、1908年9月30日 - 1974年10月24日）は、ロシア帝国（現ウクライナ）のオデッサ出身のユダヤ系ヴァイオリニスト、指揮者です。息子のイーゴリ・オイストラフもヴァイオリニストとして知られています。

生い立ちと音楽教育

1908年、オデッサの商家に生まれたオイストラフは、5歳からヴァイオリンとヴィオラをピョートル・ストリャルスキーに師事しました。1922年にソビエト連邦が成立すると、翌年の1923年からオデッサ音楽演劇学院で学び、1926年に卒業しました。音楽院では、ニコライ・ヴィリンスキーの下で和声とポリフォニーを学び、学生時代からオデッサ交響楽団でソリストや指揮者として活動していました。

音楽家としての飛躍

1928年、オイストラフはソリストとしてレニングラードでデビューを飾りました。その後、1932年から1934年、そして1941年にはソリストとして、1961年からは指揮者としてモスクワ・フィルハーモニーに所属しました。1935年には第2回全ソビエトコンクールで優勝し、同年の第2回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールでは第2位に入賞しました。さらに1937年には、ブリュッセルのウジェーヌ・イザイ・コンクール（現エリザベート王妃国際音楽コンクール）で優勝を果たし、世界的なヴァイオリニストとしての地位を確立しました。

教育活動と戦争

オイストラフは、モスクワ音楽院で教鞭を執る傍ら、演奏活動を続けました。第二次世界大戦中は、最前線で慰問演奏を行い、兵士たちを励ましました。教育者としても非常に優れており、ギドン・クレーメルをはじめ、多くの優れたヴァイオリニストを育成しました。息子のイーゴリもヴァイオリニスト、指揮者として活躍し、親子で共演することも多く、その録音も残されています。

晩年

1974年、アムステルダムでの演奏旅行中に急逝しました。遺体はモスクワに送られ、同地に埋葬されました。

音楽の特徴と録音

オイストラフの演奏は、豊かで美しい音色が特徴です。弓幅を大きく使い、速く振幅の大きなヴィブラートによって、情感豊かな音楽を奏でました。特に、チャイコフスキーやブラームスといったロマン派の作品を得意としました。

オイストラフは、数多くの録音を残しており、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、ヒンデミットの協奏曲の録音は特に有名です。しかし、ブラームス、チャイコフスキー、ブルッフなど、古典的なレパートリーにも精通していました。ロストロポーヴィチ、リヒテル、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との共演によるベートーヴェンの『三重協奏曲』や、コンヴィチュニー指揮のシュターツカペレ・ドレスデンとの共演によるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲およびブラームスのヴァイオリン協奏曲の録音は、特に高く評価されています。

また、指揮者としても活動しており、自ら指揮しながらモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を録音したり、モスクワ放送交響楽団を指揮してブラームスの交響曲第2番を録音したりもしました。

使用楽器

オイストラフは、1705年製のストラディヴァリウス「マルシック」を愛用していました。

関連項目

Moscow International David Oistrakh Violin Competition

外部リンク

A Portrait（ロシア語）
* ディスコグラフィ（英語）

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