エリザベート王妃国際音楽コンクール

エリザベート王妃国際音楽コンクール

エリザベート王妃国際音楽コンクール（Concours musical international Reine Élisabeth de Belgique）は、ベルギーのブリュッセルで開催される、世界的に権威のある音楽コンクールの一つです。チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールと並び、世界三大コンクールと称されています。

概要

コンクールは4年ごとに開催され、ピアノ、ヴァイオリン、声楽、チェロの各部門で、若き音楽家たちがその才能を競い合います。世界三大コンクールの中でも最も古い歴史を持ち、主催国出身者への過剰な偏りがない、比較的公平な審査が行われることで知られています。

コンクールの前身は、ベルギーが生んだヴァイオリンの巨匠、ウジェーヌ・イザイを讃えて創設されたイザイ国際コンクールでした。1951年、ベルギー青少年音楽院の創設者ルネ・ニコリの提唱により、エリザベート王妃（アルベール1世の王妃）の名を冠した国家的行事として再編されました。

年齢制限は当初34歳まででしたが、1990年代に27歳へ変更され、現在は30歳となっています。

ルール

ファイナリストの上限は12名、セミファイナリストの上限は24名と定められています。

課題曲の選択肢は、ヴァイオリン、チェロ、声楽部門では比較的狭いですが、ピアノ部門では広く設定されており、参加者同士の曲目重複を避けるよう配慮されています。しかし、ヴァイオリンとピアノの本選課題曲は、ベルギーの保守的な音楽界の意向を反映してか、長年変更されていませんでした。この状況を打破するため、2019年のヴァイオリン部門の本選では、課題協奏曲に加えて、スコアとパート譜が用意できる任意の協奏曲を選択できるようになりました。

2021年はCOVID-19感染リスク軽減のため、ファイナリストが6人に半減されましたが、2022年には12人に戻されました。

部門と開催年

ヴァイオリン: 1937, 1951, 1955, 1959, 1963, 1967, 1971, 1976, 1980, 1985, 1989, 1993, 1997, 2001, 2005, 2009, 2012, 2015, 2019
ピアノ: 1938, 1952, 1956, 1960, 1964, 1968, 1972, 1975, 1978, 1983, 1987, 1991, 1995, 1999, 2003, 2007, 2010, 2013, 2016, 2021
作曲: 1953, 1957, 1961, 1965, 1969, 1977, 1982, 1991, 1993, 1995, 1997, 1999, 2001, 2003, 2007, 2010, 2013 (無期限休止)
声楽: 1988, 1992, 1996, 2000, 2004, 2008, 2011, 2018, 2023
チェロ: 2017, 2022

近年の入賞者

2019年 ヴァイオリン部門: 1位 ステラ・チェン (アメリカ), 2位 ティモシー・チョイ (カナダ), 3位 スティーヴン・キム (アメリカ)
2021年 ピアノ部門: 1位 ジョナサン・フルネル (フランス), 2位 セルゲイ・レドキン (ロシア), 3位 務川慧悟 (日本)
2022年 チェロ部門: 1位 チェ・ハヨン (韓国), 2位 チェン・イバイ (中国), 3位 マルセル・ヨハネス・キッツ (エストニア)

日本人入賞者

数多くの日本人音楽家がエリザベート王妃国際音楽コンクールで入賞を果たし、国際的な舞台で活躍するきっかけを掴んでいます。

1963年 ヴァイオリン部門: 6位 潮田益子
1963年 ヴァイオリン部門: 10位 鈴木秀太郎
1968年 ピアノ部門: 10位 内田光子
1971年 ヴァイオリン部門: 3位 藤原浜雄
1972年 ピアノ部門: 6位 神谷郁代
1975年 ピアノ部門: 9位 花房晴美
1976年 ヴァイオリン部門: 5位 石川静
1977年 作曲部門: 藤掛廣幸、西村朗
1980年 ヴァイオリン部門: 1位 堀米ゆず子
1980年 ヴァイオリン部門: 3位 清水高師
1980年 ヴァイオリン部門: 4位 塚原るり子
1987年 ピアノ部門: 2位 若林顕
1987年 ピアノ部門: 5位 仲道郁代
1987年 ピアノ部門: 7位 三木香代
1989年 ヴァイオリン部門: 2位 諏訪内晶子
1989年 ヴァイオリン部門: 7位 菅野美絵子
1989年 ヴァイオリン部門: 8位 鈴木裕子
1991年 ピアノ部門: 7位 坂井千春
1993年 ヴァイオリン部門: 1位 戸田弥生
1993年 ヴァイオリン部門: 6位 安彦千恵
1995年 ピアノ部門: 5位 朴ジョンファ
1995年 ピアノ部門: 佐野えり子、塚本聖子（ファイナリスト）
1997年 ヴァイオリン部門: 5位 玉井菜採
1997年 ヴァイオリン部門: 6位 高木和弘
1997年 ヴァイオリン部門: 大谷玲子（ファイナリスト）
1999年 ピアノ部門: 永野英樹、高橋礼恵（ファイナリスト）
2001年 ヴァイオリン部門: 6位 小野明子
2003年 ピアノ部門: 5位 松本和将
2003年 ピアノ部門: 岡本麻子（ファイナリスト）
2005年 ヴァイオリン部門: 4位 松山冴花
2005年 ヴァイオリン部門: 岡崎慶輔、米元響子（ファイナリスト）
2007年 ピアノ部門: 河村尚子（ファイナリスト）
2010年 ピアノ部門: 佐藤卓史（ファイナリスト）
2011年 作曲部門: 酒井健治
2012年 ヴァイオリン部門: 2位 成田達輝
2016年 ピアノ部門: 岡田奏、今田篤（ファイナリスト）
2017年 チェロ部門: 2位 岡本侑也
2019年 ヴァイオリン部門: 岡本誠司、宇野由樹子（ファイナリスト）
2021年 ピアノ部門: 3位 務川慧悟
2021年 ピアノ部門: 4位 阪田知樹

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