ダークストア

ダークストアとは

ダークストアとは、オンラインショッピング専用の小売店や物流センターの総称です。ダークショップ、ダークスーパーマーケット、ドットコムセンターとも呼ばれます。従来の店舗とは異なり、顧客が直接入店することはありません。

概要

ダークストアは、主に大規模な倉庫として機能し、以下の2つの目的で使用されます。

1. クリック&コレクト: オンラインで注文された商品を、顧客が店舗に受け取りに来るための施設。
2. オーダーフルフィルメントプラットフォーム: インターネット通販の注文処理、発送業務を行うための施設。

この形式はイギリスで始まり、その後フランス、他の欧州連合諸国、ロシア、そしてアメリカへと拡大しました。ネットスーパーとは異なり、地域ごとにダークストアを細かく配置し、注文から30分以内の高速配送を特徴としています。この迅速な配送サービスは「インスタントデリバリー」や「クイックコマース」とも呼ばれ、新型コロナウイルスのパンデミックによる「巣ごもり需要」と相まって、ヨーロッパで急速に成長しました。

2021年には、多くの企業が食料品の迅速な配達サービスで競争を繰り広げています。これらの企業はベンチャーキャピタルからの資金を基に、市場シェアの獲得競争を行っており、多額の損失を計上しているのが現状です。サリー大学のデジタル経済センター所長であるアナベル・ガワー教授は、「食料品の供給自体は成長しているが、配送事業は成長が鈍化しており、高利益率な産業ではない」と指摘しています。

構造

ダークストアは、一般には公開されていない店舗であるため、内部は従来のスーパーマーケットのように食料品やその他の商品が陳列されています。しかし、顧客と直接取引する必要がないため、店舗は主要道路沿いやショッピングセンター内には設置されず、配達の利便性を考慮した場所に配置されます。店内には従業員しかいないため、レジやサービスカウンターはなく、販促物もありません。

オンラインで受け付けた注文は管理センターで処理された後、ダークストアに送信されます。ダークストアでは、24時間体制で働く「パーソナルショッパー」（通称「ピッカー」）と呼ばれる従業員が、注文に従って棚から商品をピッキングします。彼らはタブレットに表示される指示に従い、ショッピングカートに商品を投入します。多くの場合、複数の注文を同時に処理できるシステムが採用されています。

イギリスの大手スーパーであるテスコは、2013年10月に「第4世代ドットコムストア」をオープンしました。このストアは、約3万点の商品を取り扱い、1日に約4千件の注文を処理します。第4世代のダークストアでは、従業員が個々の商品を収集する代わりに、機械がピッカーに指示された商品を運び、冷蔵品は冷蔵庫から配達用バンに直接運ばれる、高度に自動化された倉庫を採用しています。アメリカでは、トイザらスが既存の実店舗向け倉庫を自動化されたダークストアとして利用しています。

最も一般的なダークストアは食料品を扱っていますが、一部では衣料品も扱っており、これによりコスト削減が期待できます。ダークストアは、繁華街から離れた賃料の安い場所に設置でき、販売員を多く雇用する必要がないため、運営コストが削減されます。ダークストアで選ばれた食料品の価格は平均約12ポンドで、従来の店舗の平均価格18〜20ポンドよりも大幅に低くなっています。

フランスではダークストアが特に人気で、2014年には約2,000のダークストアが「クリック&コレクト」モデルで運営されていました。

成長と拡大

オンライン注文専門の店舗というコンセプトを最初に試したのは、2000年代初頭にロンドンのパークロイヤルで配送センターを運営していたセインズベリーズでしたが、注文数が少なかったため閉鎖されました。その後、10年以上経過した2013年10月に、イーストロンドンのブロムリーバイボウで別の計画を発表しました。

2020年には、アマゾンが所有するアメリカの小売業者ホールフーズ・マーケットが、ブルックリン区に初のオンライン専用のダークストアをオープンしました。

しかし、2022年1月には、オランダのアムステルダム市で、店舗周辺のスクーター交通量の増加や騒音、店舗の外観の問題から、新規のダークストアの開店を凍結する方針が発表されました。

関連項目

ホールセールクラブ
ラストワンマイル
ギグワーカー
ゴーストレストラン
無店舗販売
クリック&コレクト
* ネットスーパー

もう一度検索