ダーダーサーヘブ・パールケー賞

ダーダーサーヘブ・パールケー賞

ダーダーサーヘブ・パールケー賞（Dadasaheb Phalke Award）は、インド映画界における最高の栄誉とされる映画賞です。インドの情報・放送省傘下にある映画祭事務局が運営を担っており、毎年開催される国家映画賞の授賞式においてその受賞者が発表されます。この賞は、長年にわたりインド映画の発展に顕著な貢献をした個人に贈られるものであり、インド映画界の重鎮たちで構成される選考委員会によって慎重に決定されます。

栄誉の証として、受賞者にはメダル、ショール、そして賞金が授与されます。賞金の額は、第70回国家映画賞以降、従来の100万ルピーから150万ルピーへと増額されました。

歴史と由来

この賞は、インド映画の礎を築いた偉大な映画製作者、ダーダーサーヘブ・パールケー氏の功績を称えるために創設されました。1913年にインド初の長編映画『ハリシュチャンドラ王』を制作したパールケー氏は、「インド映画の父」として広く尊敬されています。その多大な貢献を記念し、インド政府は1969年に本賞を設立しました。

栄えある第1回受賞者は、第17回国家映画賞で発表され、インド映画史を代表する女優の一人、デーヴィカー・ラーニーが選ばれました。2018年の時点では、合計49名の映画人がこの賞を受賞しています。故人に贈られたのは、プリトヴィラージ・カプール氏とヴィノード・カンナー氏の二人だけです。

特筆すべきは、家族ぐるみで受賞している例が複数存在することです。プリトヴィラージ・カプール氏の息子である著名な俳優・監督ラージ・カプール氏は、第19回国家映画賞で父に代わって賞を受け取った経験があり、後に彼自身も第35回国家映画賞でこの栄誉に輝いています。しかし、その第35回授賞式の最中に健康問題を抱え倒れ、その約1ヶ月後に惜しくもこの世を去ったことは、映画史における悲劇的なエピソードとして記憶されています。

他にも、B・N・レッディ氏とB・ナギ・レッディ氏、ラージ・カプール氏とシャシ・カプール氏、ラタ・マンゲシュカル氏とアシャ・ボスレ氏、そしてB・R・チョープラー氏とヤシュ・チョープラー氏は、それぞれ兄弟または姉妹の関係であり、両者がダーダーサーヘブ・パールケー賞を受賞しています。

類似名称を巡る問題

ダーダーサーヘブ・パールケーの名を冠した賞は本賞以外にも複数存在しますが、これらは政府主催の本賞とは異なります。例えば、「ダーダーサーヘブ・パールケー・エクセレンス賞」や「ダーダーサーヘブ・パールケー映画財団賞」は、民間団体によって運営されており、ダーダーサーヘブ・パールケー賞とは一切関係がありません。

こうした状況に対し、批判的な意見も上がっています。中央映画認証委員会メンバーのヴァーニー・トリパティ氏は、これらの民間賞を「名誉ある賞とその名称に対する重大な侵害」であり、「インドで最も権威のある国家勲章であるバーラト・ラトナに匹敵する映画界の栄誉に対する敬意に欠けている」と厳しく批判しています。また、ダーダーサーヘブ・パールケー賞受賞者であるシャーム・ベネガル氏も、政府に対し「ダーダーサーヘブの名を冠する賞を一つに限定すべきだ」と行動を促しています。

これに対し、情報・放送省次官補（映画担当）のアショーク・クマール・パルマル氏は、名称が完全に同一ではないため、法的に介入することは難しいとの見解を示しています。彼は、これらの団体は名称を巧妙に利用してイベントを開催しており、参加するかどうかは招待された個人の判断に委ねられるとしています。

受賞者

（年代別の受賞者一覧は省略）

もう一度検索