ダーティ・松本

ダーティ・松本の概要

ダーティ・松本は、日本の漫画家であり、主に成人向け漫画を執筆しています。その作品は、過激な性描写やバイオレンスな表現が特徴で、多くの読者に衝撃と興奮を与えてきました。ペンネームの表記には、「ダーティー松本」「ダーティ松本」などブレがありますが、本人が「ダーティ・松本」が正しいと明言しています。また、久保書店から発売されている単行本では、初版の表記ミスをそのまま引き継いでいるという逸話も残っています。

経歴

熊本県熊本市出身のダーティ・松本は、熊本市立川尻小学校、熊本大学教育学部附属中学校を経て、熊本県立熊本高等学校に入学しました。1970年には、さいとう・プロダクションに入社しますが、半年ほどで退社。その後、肉体労働のアルバイトをしながら、青年劇画誌への持ち込みを続けます。1975年頃から、辰巳出版の「漫画ダイナマイト」で本格的に成人向け漫画家としての活動をスタートさせます。

1977年には、久保書店から初の単行本『肉の奴隷人形』を刊行。1980年には、作品集『美少女たちの宴』が映画化され、『セックスハンター 性狩人』として公開されました。1990年代前半には、松本美蝶名義でレディースコミックも執筆。1994年以降は、コミックマーケットにも参加するなど、同人誌活動も積極的に行なっています。

ダーティ・松本の作品は、度々社会的な議論の対象にもなっています。1978年には、「漫画エロジェニカ」が刑法175条（わいせつ図画頒布）で摘発され、2016年には共著『劇画あまとりあ』が東京都不健全図書に指定されています。

作品への評価

ダーティ・松本の作品は、その独特な画風と過激な描写から、様々な評価を受けています。

『アートコレクター』2010年12月号では、会田誠が「エロマンガの巨匠」としてダーティ・松本を評価。「顔の書き方は上手いとは言えないが、感情がぐんぐんと出てくる」と評しました。
『ヤングサンデー』1995.8.17では、空手家の佐竹雅昭が「初めて見てショックを受けたエロマンガ」として『肉の奴隷人形』を挙げています。
「週刊文春」2003年1月2日＆9日号では、みうらじゅんが「ダーティ・松本の白鳥の湖」を「青春期、随分と下の世話を手助けしていただきました」と評しています。
「別冊宝島／日本一のマンガを探せ！」では、『漫画ソフト』に連載された「淫花蝶の舞踏」がベスト2000のマンガに選ばれています。
「斬姦狂死郎」は、「エロ劇画の常識を破るスーパーヒーロー」と評され、その人物描写やストーリー展開が高く評価されています。
永山薫は、「エロマンガ・スタディーズ」で、ダーティ・松本の作品におけるバレエ、タイツ、レオタードへのフェティシズム、そして性器移植や人体吊り上げといった過激な描写を分析しています。

作風

ダーティ・松本の作風は、初期のSM風ハードなエロマンガから始まり、「美少女たちの宴」「性狩人たち」シリーズで頂点を迎えました。その後、女王様路線の「美蝶」シリーズ、「女王蜂」「メタル・クイーン」シリーズへと発展。また、「斬姦狂死郎 」シリーズや『抜かずの凶一』シリーズなど、学園を舞台にした作品も多く手がけています。

同人誌では、美少女ものや美少年ものを描くようになり、松本美蝶名義でレディースコミックにも活動範囲を広げています。絵柄は、初期の劇画調から、エロ劇画と少女漫画のテイストを融合させた独特なものへと変化。2000年頃からはCG作画も導入し、過去の作品をデジタル復刻して販売も行っています。

現在では、「DCプロジェクト」や「ダーティ・松本」のサークル名で、電子書籍やダウンロード販売も展開しています。

主な著作

ダーティ・松本の主な著作は以下の通りです。

「屠殺人シリーズ」（単行本「愛奴狩り」に収録）
「闇の淫虐師」シリーズ
「女教師・美蝶」シリーズ
「美少女たちの宴」全3巻
「性狩人たち」シリーズ
「放課後の媚娼女」
「放課後の熱い祭り」
女装美少年作品集「女装奴隷人形」「女装遊戯倶楽部」「女装 巨乳顔射！」
「舞姫伝説」（バレリーナ作品集）
「水着女体狩り」（水着マンガ集）
画集「Dancing Body」
連作「堕天使たちの饗宴」（単行本「SM蟻地獄」から収録）


また、2012年には、初の単行本「肉の奴隷人形」から数えて150冊目となる単行本「闇祭 悦楽千一夜」を記念刊行しました。2013年には初の個展を開催し、2014年からは電子書籍の販売も開始しています。

2015年には、戦争同人誌「Crash クラッシュ」を発表。2016年以降は、同人誌の共同制作にも積極的に参加しています。望月三起也への追悼として描かれた「Dirty7」は、連作として複数発表されています。

2018年には、3回目の個展を開催し、漫画家としての活動を超えて独自の画業の世界を築きつつあります。

アシスタント

ダーティ・松本のアシスタントを務めた漫画家には、萩原一至、鶴田洋久などがいます。

外部リンク

ダーティ・マーケット - 公式サイト
ダー松の明日はこっちだ！ - 本人ブログ
ダーティ・松本 (@michiyo28) - X（旧Twitter）
ダーティ・松本：公開作品 - マンガ図書館Z

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