ダーピンジアン

ダーピンジアン (Dapingian)

ダーピンジアンは、国際層序委員会によって定義された地質時代名であり、中期オルドビス紀の前期に属します。この時代は約4億7000万年前から4億6730万年前にあたります。ダーピンジアンの前にはフロイアンがあり、後にはダーリウィリアンが続きます。日本語では「大坪期」とも称されています。

この時代は地質学的に非常に重要であり、特に海水準の低下が顕著であったことやコノドントという古生物の大規模な絶滅が記録されています。これにより、地史学的にもダーピンジアンの特徴は際立っています。

層序学的定義

ダーピンジアン階の基底は、コノドントの一種であるバルトニオドゥス属（Baltoniodus triangularis）の初出現によって定義されています。この基準を満たす地点は、中国湖北省宜昌市の黄花場村に位置する黄花場セクションです。この地点は国際標準模式層断面及び地点（GSSP）としても知られています。ダーピンジアンの境界は、ダワン累層の基底より10.57メートル上に位置する厳密な点に設定されています。

名称の「ダーピンジアン」は、GSSPが所在する黄花場村にちなんで名付けられ、2005年に提案されました。また、イングランドではArenig階とダーピンジアン階が重複していることが知られています。

地層の分布

ダーピンジアンに属する地層は世界各地で見ることができます。マレーシアのラングン島南東部の最高地点からは、コノドントのB群集が発見されました。この群集には、Jumodontus ganandaやCooperignathus arandaなどが含まれており、北アメリカの群集帯と対照させると、この化石年代は前期フロイアンに相当すると考えられています。さらに、これらの化石は浅海での熱帯性古生物地理区に属することが判明しています。

ラングン島は主にカキブキ累層の石灰岩から構成されており、この場所は前期から中期オルドビス紀にかけて形成された陸棚上の炭酸塩プラットフォームであると分析されています。

日本においても、飛騨外縁帯や南部北上帯から前期オルドビス紀のフロイアン地層や砕屑性ジルコンが発見されています。このことは、中期オルドビス紀における日本の陸棚相がかなり広範であったことを示唆しています。地質学的研究や化石の発見は、当時の環境を理解する手助けとなっており、ダーピンジアンの重要性を際立たせています。

もう一度検索