チェサピーク・ベイ・レトリーバー

チェサピーク・ベイ・レトリーバーは、アメリカ合衆国原産の犬種で、その全身を覆う巻き毛が最も特徴的です。レトリーバー、つまり回収犬として知られ、狩猟犬の一種として活躍してきました。被毛の色は、ブラウン、セッジ（明るい黄土色）、デッドグラス（枯草色）など、茶色系のバリエーションが見られます。巻き毛を除けば、チョコレート色や濃いイエローのラブラドール・レトリーバーと外見がよく似ています。

その名前が示す通り、チェサピーク湾岸地域で、悪天候や高水位といった厳しい条件下での狩猟活動を担ってきました。氷を割って水中に飛び込み、獲物を何度も回収できる能力を持つよう交配が進められました。また、回収した獲物が市場に出荷される際には、船や荷台の上で見張り番を務め、盗難を防ぐ役割も担っていました。このことから、チェサピーク・ベイ・レトリーバーは、飼い主や自分のテリトリーに対する非常に強い保護意識を持つ犬種であることがわかります。

犬種の起源については、いくつかの説が存在し、正確なところは不明です。有力な説の一つは、1801年にアメリカ東海岸沖でイギリスの帆船が難破した際、救助への感謝として残されたニューファンドランド犬の子犬たちと、当時運搬用として飼育されていた雑種犬を交配させたとするものです。もう一つの説は、1807年にニューファンドランドから来た船がチェサピーク湾で難破した際に、船長が救助の礼として残したニューファンドランド犬と地元のハウンド犬を交配させたというものです。

どちらの説にも共通しているのは、ニューファンドランドから連れてこられた犬が基礎になっているという点です。ただし、この犬は、現在見られる超大型犬種のニューファンドランドの祖先ではなく、ラブラドール・レトリーバーの祖先と同じ、比較的小型の大型犬であったと考えられています。その後、カーリーコーテッド・レトリーバーやフラットコーテッド・レトリーバーなどとの交配を経て、1885年頃に現在の姿が確立されました。アメリカンケネルクラブ（AKC）への最初の登録は1878年です。

日本では、ジャパンケネルクラブ（JKC）への登録数が少ないため、まだ珍しい犬種とされています。登録数は二桁で推移しています。しかし、1992年には、アメリカで訓練を受けたチェサピーク・ベイ・レトリーバーのブルースが、日本初の介助犬として活躍しました。

関連項目：
犬の品種一覧
イヌ
* 脚注

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