チェスター・ビーティ図書館

チェスター・ビーティ図書館

チェスター・ビーティ図書館（チェスタービーティとしょかん）は、アイルランドのダブリンに位置する図書館、美術館、博物館の複合施設です。1954年に開館し、多くの貴重なコレクションを所蔵しています。その中でも特に、イスラム世界、インド、日本、中国の美術品を豊富に展示していることで知られています。現在の図書館は、ビーティ氏の生誕125周年を記念して2000年2月7日にダブリン城内に設立され、その後2002年にはヨーロッパの「今年の博物館」に選出されました。

建物の構成

図書館の建物は主に2つの棟から構成されています。1つは、傷んだ美術品の修復作業が行われる「Clock Tower building」で、もう1つは美術品の展示スペースとして利用される「Modern building」です。Clock Tower buildingは古い時計塔を改築したものであり、Modern buildingは1999年に新築されました。これら2つの棟は、渡り廊下によってつながっており、訪れる客にとって便利な動線が提供されています。館内にはカフェテリアや販売店も併設され、観覧を楽しむ人々にとって快適な空間となっています。

コレクションについて

チェスター・ビーティ図書館が所蔵する全体のコレクションのうち、約1%から5%が「聖なる伝統」と「芸術の伝統」の2つに分けられています。これらのコレクションは、イスラム世界や東アジア、西洋の写本、細密画、版画、素描、稀覯本、装飾美術などを展示し、特に旧約聖書と新約聖書に関する学術的な資料としての価値が高いとされています。博物館では、特設展も頻繁に開催され、海外の貴重な作品も数多く展示されています。

西洋コレクション

西洋コレクションには、多数の彩飾写本や稀覯本、古典的な巨匠の版画や素描が含まれています。また、パピルスコレクションは世界でも有数の広範なコレクションであり、古代エジプトの恋歌をほぼ完全に揃えたものが含まれています。

イスラムコレクション

イスラムコレクションは、「アラビア」、「クルアーン」、「ペルシャ」、「トルコ」、「ムガル帝国時代のインド」の5つの部門に分かれており、特にアラビア語の文書では宗教、歴史、法学、医学、地理学、数学、天文学、言語学に関する重要な論考が収められています。特に、ムガル帝国時代の細密画を含むアルバム類や、イブヌル・バウワーブの手による貴重なクルアーン写本が収蔵されており、これらは世界でも屈指の貴重なコレクションとして評価されています。

東アジアコレクション

東アジアコレクションは、「中国」「日本」「その他」の3つの部門に分かれています。良質な日本美術品としては、17世紀の絵巻や木版画が多数所蔵されており、特に狩野山雪の作品が一対あります。また、「その他」部門にはモンゴル、チベット、南アジアおよび東南アジアに関する貴重な文献が収められ、特に仏典のコレクションが充実しています。

まとめ

チェスター・ビーティ図書館は、その多様なコレクションにより、訪れる人々に深い文化的体験を提供する場となっています。美術や歴史に興味を持つ人々にとって、この図書館はまさに宝の山です。

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