チェゼーナ

チェゼーナ：歴史と文化が息づくイタリアの古都

チェゼーナは、イタリア共和国エミリア＝ロマーニャ州に位置する都市であり、約9万6千人の人々が暮らすコムーネ（基礎自治体）です。フォルリ＝チェゼーナ県の県都の一つであり、もう一つはフォルリです。チェゼーナは、県内でフォルリに次ぐ人口を擁する重要な都市として知られています。

古代からの歴史

チェゼーナは、その起源を古代に遡ることができる歴史的な都市です。ウンブリ人やエトルリア人によって築かれたこの地は、かつて「カエセナ」と呼ばれていました。その後、ガリア人の支配を経て、紀元前3世紀には共和政ローマの支配下に入りました。ローマ時代には、戦略的に重要な兵営都市として機能しましたが、マリウスとスッラの戦争によって破壊されるという苦難も経験しています。大プリニウスは、チェゼーナのワインが最も美味であると賞賛しています。

中世の変遷

中世初期、チェゼーナは東ローマ帝国のラヴェンナ総督領と、ランゴバルド王国の国境に位置する都市でした。754年には、フランク王国のピピン3世によって征服され、ローマ教皇に寄進されました。その後、教皇領となったり、ラヴェンナ大司教領となったりと、支配者がめまぐるしく変わる時代が続きました。12世紀後半には、短期間ながら市民共和国が成立しましたが、その後は教皇と神聖ローマ皇帝の間で、この地の支配権を巡る争いが繰り広げられました。

オルデラッフィ家の支配を経て、1357年にはアルボルノス枢機卿率いる教皇軍によって攻囲され、その支配は終焉を迎えました。八聖人戦争中の1377年には、市民共同体が反乱を起こしましたが、ロベール・ド・ジュネーヴ枢機卿の指揮の下、傭兵隊長ジョン・ホークウッド率いるブルトン人部隊によって鎮圧されました。この際、ジョン・ホークウッドは2500人から5000人もの市民を殺害し、「チェゼーナの虐殺者」という汚名を残しました。

ルネサンス期の繁栄

1379年から1465年にかけて、マラテスタ家がチェゼーナを統治し、この都市は復興と繁栄を遂げました。マラテスタ家によって都市を見下ろす丘の上に再建されたマラテスティアーナ城は、現在もその壮麗な姿を見ることができます。また、「マラテスタ・ノヴェッロ」ことドメニコ・マラテスタが城の近くに開設したマラテスティアーナ図書館は、ルネサンス期の図書館の好例として知られ、貴重な写本を数多く所蔵しています。

近代から現代へ

1465年にノヴェッロが亡くなると、チェゼーナは再び教皇領に戻りました。1500年には、チェーザレ・ボルジアがこの都市を手に入れ、短命に終わった彼のロマーニャ公国の首都としました。その後、チェゼーナは教皇領の地方都市の一つとして歩み、18世紀後半から19世紀前半にかけて、ピウス6世とピウス7世という2人の教皇を輩出しました。また、ピウス8世もチェゼーナ司教を務めたことから、チェゼーナは「三教皇の都市」と呼ばれるようになりました。

ナポレオン戦争の時代には、フランスによって占領され、チザルピーナ共和国の一部となりました。19世紀後半には、イタリア統一運動で活躍する市民も現れました。第二次世界大戦中には、ゴシック線に近い都市であったため、激しい爆撃を受けました。1992年にフォルリ県からリミニ県が分割された際、チェゼーナはフォルリと並ぶ県都となり、県名も「フォルリ＝チェゼーナ県」に改められました。

現在のチェゼーナ

現在、チェゼーナは歴史的な建造物と豊かな文化が息づく魅力的な都市として、多くの観光客を惹きつけています。特に、マラテスティアーナ図書館は、ヨーロッパ最古の市民図書館として知られ、ユネスコの世界記憶に登録されています。また、地元の食材を使った美味しい料理も、チェゼーナの魅力の一つです。

チェゼーナは、その長い歴史の中で様々な変遷を経験しながらも、常に重要な役割を果たしてきた都市です。イタリアを訪れる際には、ぜひチェゼーナに足を運び、その歴史と文化に触れてみてください。

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