チェリッシュ (マドンナの曲)

マドンナの愛と美の賛歌「チェリッシュ」

1989年にリリースされたマドンナのシングル「チェリッシュ」は、アルバム『ライク・ア・プレイヤー』からカットされた楽曲です。それまでのシングルとは異なり、宗教やフェミニズムといった重いテーマから離れ、愛をテーマにしたロマンティックな内容となっています。

当時マドンナ自身がアルバムの中で最も気に入っていたと語るこの曲は、元夫であるショーン・ペンとの離婚を経験した時期に制作されました。アルバム全体が内省的でダークな雰囲気をまとう中、「ディア・ジェシー」と共に数少ない明るいテーマを持つ楽曲として際立っています。

楽曲の特徴

「チェリッシュ」は、パトリック・レナードによるシンセサイザーのストリングスとブラス・セクションが印象的なD Durの楽曲です。軽快なリズムと爽やかなボーカルはモータウンサウンドの影響を感じさせつつ、80年代風にアレンジされたポップ・チューンに仕上がっています。バックボーカルには、フィル・コリンズとのデュエット曲「セパレート・ライヴス」で知られるマリリン・マーティンが参加しています。

リリースと評価

1989年8月1日にアメリカとイギリスでリリースされた「チェリッシュ」は、Billboard Hot 100で37位でデビューし、2ヶ月かけて徐々に順位を上げ、10月7日には最高2位を獲得しました。マドンナの楽曲としては珍しく、ダンスチャートにはランクインしませんでしたが、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは1位を獲得しています。2007年には、イギリスのタイムズ誌で「パパ・ドント・プリーチ」や「マテリアル・ガール」を上回る、マドンナの楽曲の中で最も優れたポップソングの一つとして評価されました。

カップリング曲「スーパーナチュラル」

カップリング曲の「スーパーナチュラル」は、オリジナルアルバムには未収録でしたが、2019年に配信限定でリリースされた『ライク・ア・プレイヤー』の30周年記念盤に「プロミス・トゥ・トライ」と入れ替わる形で収録されました。

ミュージック・ビデオ

「チェリッシュ」のミュージック・ビデオは、写真家のハーブ・リッツが監督を務めました。彼はマドンナのアルバム『トゥルー・ブルー』のジャケット写真も担当しており、このビデオがミュージックビデオ監督としてのデビュー作となりました。マドンナ自身が彼に監督を勧めたそうです。カリフォルニアの海辺で撮影されたモノクロの映像は、人魚と戯れるマドンナの姿を捉え、夏のロマンティックな雰囲気を醸し出しています。また、このビデオには、後にマドンナの恋人となる男性モデルのトニー・ウォードが人魚の一人として出演しています。

収録曲

日本盤8cmシングルには、以下の曲が収録されています。

1. チェリッシュ (Single Edit) 3:52
2. スーパーナチュラル (アルバム未収録) 5:12

公式リミックスバージョンも存在します。

Album Version 5:02
Extended Version 6:18
* Q-Sound Mix/The Immaculate Collection Version 3:52

「チェリッシュ」は、マドンナのキャリアにおいて、愛と美を象徴する重要な一曲と言えるでしょう。

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