チェルヴェーテリ

チェルヴェーテリ：エトルリア文明とローマの歴史が交差する街

イタリア共和国ラツィオ州ローマ県に位置するチェルヴェーテリは、約3万8千人の人口を有する美しい街です。古代にはエトルリア人によって築かれ、ローマ時代にはカエレとして知られていました。現在もその歴史的遺産を色濃く残し、世界遺産にも登録されているエトルリア時代の墓地遺跡は必見です。

多様な呼び名と由来

この街は、古くから様々な呼び名で知られてきました。エトルリア人はシスラ、ギリシャ人はアギュッラ、ローマ人はカエレと呼んでいました。現在の名称である「チェルヴェーテリ」は、中世に「旧カエレ」を意味するCaere Vetusから派生したものです。13世紀に近郊に「新カエレ」（現在のチェーリ）が建設されたことにより、区別するためにこの名が定着しました。日本語文献では「チェルベテリ」と表記される場合もあります。

地理と気候

ローマの西北西約35km、チヴィタヴェッキアから東南東約27kmに位置し、ティレニア海に面しています。周辺にはアングイッラーラ・サバーツィア、ブラッチャーノ、フィウミチーノ、ラディスポリ、サンタ・マリネッラ、トルファなどのコムーネがあります。イタリアの気候分類ではzona D, 1450 GGに分類され、地震リスク階級はzona 3Bと低くなっています。

悠久の歴史：共和政ローマ時代から現代まで

チェルヴェーテリの歴史は古く、共和政ローマ時代には重要な役割を果たしました。紀元前390年頃のガリア人によるローマ略奪の際、ウェスタの処女と女神ウェスタの炎を守ったと伝えられ、その功績により、特別な地位を与えられたと言われています。その後、ローマとの関係は複雑で、戦争状態を経て、紀元前353年には和平が成立、その後、ローマの支配下に入ったと考えられています。紀元前90年頃の同盟市戦争後も、独自の行政組織を維持していました。

文化と観光：世界遺産のネクロポリス

チェルヴェーテリ最大の観光資源は、何と言ってもエトルリア時代の墓地遺跡（ネクロポリス）です。特にチェーリ近郊のバンディタッチャのネクロポリスは、地中海でも有数の規模と壮大さを誇り、世界遺産「チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア墓地遺跡群」を構成する重要な資産の一つです。この遺跡は、エトルリア文明の高度な技術と芸術性を物語る貴重な史跡として、世界中から多くの観光客が訪れています。

交通と姉妹都市

チェレノーヴァにあるマリーナ・ディ・チェルヴェーテリ駅からは、ローマ、チヴィタヴェッキア、ピサ、グロッセート方面への鉄道が運行しており、アクセスも良好です。また、スペインのアルムニェーカル、ドイツのフュルステンフェルトブルック、フランスのリヴリー＝ガルガンと姉妹都市提携を結んでおり、国際的な交流も盛んです。

まとめ

チェルヴェーテリは、古代エトルリア文明とローマ帝国の歴史が深く根付く、魅力的な街です。世界遺産にも登録されているネクロポリスを始め、歴史的建造物や豊かな自然が調和した環境は、観光客に忘れられない思い出を与えてくれるでしょう。ローマへのアクセスも容易なため、イタリア旅行の際にはぜひ訪れてみたい場所の一つです。

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