チヴィタヴェッキア

チヴィタヴェッキアは、イタリアのラツィオ州ローマ県に位置する、人口約52,000人の港湾都市です。ティレニア海に面し、「ローマの外港」として重要な役割を担っています。

名称

この都市の名前は、「古代の街」を意味します。その名の通り、古代からの長い歴史を持つ街です。

地理

チヴィタヴェッキアは、ローマ県の最北西部に位置し、北にヴィテルボ県のタルクイーニアと隣接しています。ローマからは西北西に約61kmの距離にあり、港を中心とした半円状の市域が特徴です。

位置と広がり

ローマ県最北西部に位置し、北はヴィテルボ県タルクイーニアに接します。ヴィテルボから南東へ約45km、州都・首都ローマからは西北西へ約61kmの距離です。

隣接コムーネ

タルクイーニア (VT) - 北
アッルミエーレ - 北東
サンタ・マリネッラ - 南東

地勢

市域東部には、モンティ・デッラ・トルファから連なるモンテ・クッコが標高200mを超える丘陵を形成しています。マランゴーネ川が市域の南東、サンタ・マリネッラとの境界を流れています。

気候分類・地震分類

チヴィタヴェッキアは、イタリアの気候分類でzona Cに属し、度日は1085 GGです。また、地震リスク階級では、zona 3B (sismicità bassa) に分類されています。

歴史

古代

現在のチヴィタヴェッキアの街は、古代にはエトルリア人が暮らしていた場所に位置しています。港は2世紀初めにトラヤヌス帝によって整備され、小プリニウスが107年に記した書簡には「Centum Cellae」と記されています。この名称の由来は、皇帝の別荘にあった100の部屋に由来するとされています。

中世・近世

東ローマ帝国の支配下に入った後、838年にはイスラム教徒（サラセン人）に占領されましたが、後に教皇領の一部となりました。1696年には自由港に指定されています。

近代・現代

近代に入ると、ローマの外港として発展しました。1848年革命の影響でローマ共和国が建国された際には、フランス軍によって占領されました。1859年には、ローマとの間にイタリア最初の鉄道路線が開通しました。1870年には教皇軍がイタリア王国軍に明け渡しました。第二次世界大戦中には、度重なる爆撃によって大きな被害を受けました。

日本との関わり

チヴィタヴェッキアは日本との深い関わりがあります。1615年には、慶長遣欧使節団の支倉常長らが上陸しました。この縁から、支倉常長の出発地である宮城県石巻市と姉妹都市提携を結んでおり、支倉の銅像が建立されています。また、日本二十六聖人を記念した日本聖殉教者教会があります。この教会は、1864年に献堂され、1950年代の再建時には、宗教画家である長谷川路可が内装を担当し、チヴィタヴェッキアの名誉市民となっています。

経済・産業

チヴィタヴェッキア港は、中部イタリアと地中海各地を結ぶ交通の要衝です。漁業も盛んであり、また、2つの火力発電所があります。石炭火力発電所への転換計画がありますが、大気汚染を懸念する市民の反対があります。

文化・観光

文化遺産

ミケランジェロ要塞: 港湾防衛のために建設された要塞で、ミケランジェロが設計した塔が有名です。ローマ帝国時代の建築物の上に建てられています。
ロッカ: 15世紀に再建された山城です。
聖フランシスコ教会: 17世紀に建てられた教会で、19世紀にバロック・ネオクラシック様式に改築されました。
テルメ・タウリーネ: ローマ時代の浴場の遺跡で、現在も温泉として利用されています。
日本聖殉教者教会: 支倉常長と縁のある教会で、内装は日本人宗教画家長谷川路可が手がけました。長谷川はチヴィタヴェッキアの名誉市民です。
支倉常長像: 石巻市との姉妹都市提携20周年を記念して建立された銅像です。

交通

鉄道

ピサ＝リヴォルノ＝ローマ線が通り、チヴィタヴェッキア駅があります。この路線は、イタリア最初の鉄道の一つとして建設されました。

道路

欧州自動車道路E25号線、E80号線、高速道路A12、国道SS1、SS675が通っています。

港湾

チヴィタヴェッキア港は、「ローマ港」とも呼ばれ、中部イタリアと地中海を結ぶ主要な港湾です。フェリーやクルーズ船が多く発着します。

姉妹都市

石巻市（日本・宮城県）
ベツレヘム（パレスチナ）
アメーリア（イタリア・ウンブリア州）
南通市（中華人民共和国江蘇省）
ティヴァト（モンテネグロ）
マガ（ロシア）
モービル（アメリカ合衆国）

チヴィタヴェッキアは、歴史的な背景と美しい景観を持ち、多くの人々を魅了する港湾都市です。

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