チェルヴォナ・ウクライナ (軽巡洋艦)

チェルヴォナ・ウクライナ

概要

チェルヴォナ・ウクライナ（ウクライナ語: Червона Україна）は、旧ソ連の軽巡洋艦であり、「赤いウクライナ」という意味の名前を持っています。艦名は、国家や民族の背景を色濃く反映したものであり、その歴史はロシア帝国時代にまで遡ります。

計画と設計

この艦は、ロシア帝国時代に設計されたスヴェトラーナ級軽巡洋艦の5番艦として計画され、当初はアドミラール・ナヒーモフという名前で知られていました。この名称は、日本海海戦で沈没した巡洋艦に由来し、提督パーヴェル・ナヒーモフが戦争での功績から名を残しています。のちに艦名はチェルヴォナ・ウクライナに改められ、ウクライナ語表記が採用されることとなります。

艦の設計は、黒海艦隊向けに特化されており、バルト艦隊用の同型艦と異なり、耐氷装備が省かれ、機関室と機械室が拡大されるなどの変更が加えられました。排煙管の形状や装備も異なり、より効率的な性能を追求していました。特に、無線通信機の搭載は新たな技術の導入を示しています。また、主砲には新型の130mm砲を採用することで火力を向上させました。

大戦と革命の影響

建造は1913年に開始され、1915年には進水したものの、第一次世界大戦や続くロシア革命の影響により進行が遅れました。1917年の革命後、艦は一時的にウクライナの旗を掲げるようになり、ウクライナ人が多数を占める黒海艦隊において重要な役割を果たしました。この間、艦はボリシェヴィキとウクライナ人民共和国の争いの中で重要な存在となり、ついに赤軍に接収されました。

その後の混乱の中、艦名はウクライナの英雄ボフダン・フメリニツキーに改められるなど、国の情勢を反映した変化がありました。1922年、赤いウクライナという名称に改められた際には、共産主義政権のウクライナ方面への政策を強化する意図が込められていたのです。

戦間期と国際関係

チェルヴォナ・ウクライナは、戦間期において黒海艦隊の旗艦として位置づけられ、トルコや地中海との訪問を回数を重ねました。しかし、1930年代にはウクライナ語の使用が制限されるなど、政治情勢の変化に翻弄されていくこととなります。

第二次世界大戦

1941年、第二次世界大戦が勃発すると、チェルヴォナ・ウクライナも戦闘に投入され、オデッサやセヴァストーポリにおける作戦に参与しました。艦は多くの艦砲射撃を行い、敵に対抗するための支援を行いましたが、数回にわたる敵の空爆により大きなダメージを受けます。特に1941年11月12日、セヴァストーポリでの空襲によって沈没しました。

戦後の評価と記念

戦後、チェルヴォナ・ウクライナの評価は高く、艦の運命を記念するためのパネルが設置され、歴史的な背景を今に伝えています。艦名は後にミサイル巡洋艦に受け継がれましたが、ソ連の崩壊に伴い、改称されることとなりました。

この艦の歴史は、ウクライナとロシアの激しい歴史的対立を物語っており、単なる軍艦以上の意味を持っていました。

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