チェンジリング (2008年の映画)

映画『チェンジリング』の概要

『チェンジリング』（Changeling）は2008年に公開されたアメリカの映画で、クリント・イーストウッドが監督を務め、アンジェリーナ・ジョリーが主演します。この作品は、1920年代のロサンゼルスで実際に発生した悲劇的な事件、ゴードン・ノースコット事件を基にしています。題名の「チェンジリング」は、ヨーロッパの伝説に由来するもので、自分の子供が異なる子供に取り替えられるという物語を反映しています。

本作は、第61回カンヌ国際映画祭に出品され、さらには第81回アカデミー賞で主演女優賞や撮影賞、美術賞にノミネートされるなど高い評価を得ました。

物語の流れ

映画は1928年のロサンゼルスから始まります。主人公のクリスティン・コリンズは一人で息子ウォルターを育てながら電話会社で働いているシングルマザーです。ある日、仕事から帰ると息子のウォルターの姿がなく、彼女はロサンゼルス市警察に捜査を依頼します。事件は瞬く間にメディアに取り上げられ、世間の注目を集める一方で、警察の信頼性について疑問が投げかけられることになります。

約5か月後、市警のジョーンズ警部からウォルターが保護されたとの知らせが入ります。クリスティンは警部に付き添われ駅に向かうと、約束された息子と対面。しかし、そこに現れた少年は彼女の息子とは異なる全くの別人でした。クリスティンは混乱し、改めてジョーンズに捜査の再開を求めますが、今度は彼女が育児を放棄しようとしていると責め立てられる始末。

クリスティンはウォルターが他の少年と異なる点を指摘し、様々な証拠を集めようと試みるのですが、その努力はむしろ彼女の精神状態に疑念を持つだけの結果を招きます。警察は、彼女を「精神異常者」として精神病院に入院させるという暴挙に出るのです。しかしそこで彼女は、同じように市警に誤って入院させられた他の被害者たちと出会い、再び勇気を取り戻します。

劇中では、クリスティンの周囲の状況が悪化し、市警内部での腐敗や無能さが浮き彫りになりますが、彼女はその状況を変えようと情報をメディアに提供しようと奮闘します。それを阻止しようとするジョーンズ警部により、精神病院に隔離されることとなります。

同時進行で、市警のレスターが拘束した不法入国者の少年からノースコットに関連する衝撃的な告白を聞き出します。彼の告白によって、ノースコットが多くの少年を誘拐し、殺害していたことが明らかになり、クリスティンはついに期待していた手がかりに繋がります。

事件の結末と影響

やがて、ノースコットが逮捕され、彼の愚行が世間に知られることになりますが、クリスティンの捜索は続きます。彼女は再び弁護士を雇い、精神病院での経験を背景に市警に対して訴訟を起こすなど、強い意志を持ちつづけます。

映画は、母親としてのクリスティンの果てしない探し続ける姿勢と、その過程で直面する社会の問題を映し出しています。最終的に、ノースコットの処刑に立ち会った遺族から「自分たちの息子が見つかった」という連絡が入ります。クリスティンは希望を持ちつづけ、自身の息子ウォルターの生存を信じ、探し続ける決意を新たにします。

キャストと評価

本作には実在の人物が多く登場し、主演のアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァンなど豪華なキャストによってストーリーが描かれます。

映画は、Rotten Tomatoesで62％の支持率、Metacriticでは63点の評価を受けており、一定の評価を獲得しています。

『チェンジリング』は単なる事件の再現ではなく、母の愛と、それに対する社会や制度の無理解を映し出した深いテーマを持つ作品です。

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