チェンタウロII MGS 120/105

チェンタウロII MGS 120/105

チェンタウロII MGS 120/105（Mobile Gun System）は、イタリアのイヴェコ・オート・メラーラ・コンソーシアムが製造する対戦車装甲車です。この車両はイタリア陸軍とブラジル陸軍のために設計されており、世界初の8輪駆動の対戦車装甲車である「チェンタウロ戦闘偵察車」の進化版にあたります。

特徴と設計

新型チェンタウロIIは、即席爆発装置（IED）に対する防御性能を向上させるために、全面的に設計が見直されています。車体は部分的に異なる形状の耐弾性鋼で構成されており、強度と軽量化を両立しています。特に車体底部はV字型の設計となっており、爆発エネルギーを効率的に分散させる構造になっています。また、全体的な重量は従来モデルに比べて300kg削減されています。

チェンタウロIIの誕生背景には、イタリア陸軍が冷戦時代に求めた機動力の向上があります。ベルリンの壁崩壊以降、イタリア軍は平和維持活動や人道的な任務に対応するために装甲車両の使用を見直しました。このモデルは意図された運用環境を超え、国際的な任務に対応できる新世代の装甲車を実現しました。

技術と装備

チェンタウロIIは、産業と軍の密接な共同作業によって生み出されたデジタルアーキテクチャを備えています。この技術により、防衛任務以外にも、自然災害後の支援活動や、さまざまな軍事作戦においても柔軟に活用できる能力を持っています。

特筆すべきは、最新の電子光学機器を搭載している点です。指揮官と砲手はATTILA Dパノラマペリスコープや最新の照準装置を使用し、6種類の無線通信システムを搭載することにより、効果的な情報交換が可能です。さらに、遠隔操作式の砲塔やジャマーH3を用いることで、即席爆発装置のリスクを軽減し、乗員の保護を強化します。

砲方面では、52口径の105mm砲や、最新のNATO規格の砲弾を使用できる120mm滑腔砲を搭載可能です。これにより、対戦車能力は他の現代戦車に匹敵する火力を発揮します。砲塔は軽量ながらも強力な防御力を持っており、全体の機動力を維持することができます。

軍事運用と納入状況

チェンタウロIIの駆動系は、イヴェコ製の20リットルエンジン（ユーロ3対応）を使用しており、最大出力は533kW（720hp）および2500Nmのトルクを誇ります。また、前進7速、後退1速の自動変速機を搭載しているため、高い機動性を実現しています。

イタリア陸軍向けの調達価格は、1両あたり670万ユーロとなっており、2020年には150両の発注が決定しています。2022年にはブラジル陸軍によって、他国の競合車両を抑えつつ98両の追加採用が確認されました。さらに、2024年にはイタリア陸軍への納入が完了しました。

結論

チェンタウロII MGS 120/105は、強力な火力と高い防御力、優れた機動力を兼ね備えた新世代の装甲車として、国際的な軍事活動において重要な役割を果たしています。その革新的な設計と技術により、現代の多様な兵器システムに対応する能力が求められる中で、影響力を持つ存在となっています。

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