チェン・ミン

チェン・ミン：二胡の旋律が紡ぐ、東西文化の架け橋

1968年12月13日、中国の蘇州で生まれたチェン・ミン氏は、上海を拠点に活躍する二胡奏者です。幼少期から上海音楽学院教授である父、陳龍章氏のもとで二胡の指導を受け、音楽の才能を開花させました。母親は越劇女優であったことから、芸術に囲まれた環境で育ちました。

上海戯曲学校で二胡を専攻し卒業した後、上海越劇院オーケストラの主要二胡奏者としてキャリアをスタートさせます。同院では演劇コースも履修し、上海電視台（TV）のドラマで主演を務めるなど、女優としても才能を発揮しました。

1991年には来日し、2年間の語学学習を経て、1993年に共立女子大学に入学。1997年に日本文化を専攻して卒業しました。この留学期間を通して日本の伝統文化への深い理解を培い、その後の活動に大きく貢献することになります。

日本での演奏活動は1998年から本格化し、アルバム『鳥の歌』でCDデビューを果たします。2001年に発表したアルバム『I wish – 我願 –』は高い評価を受け、2003年には『第17回日本ゴールドディスク大賞』特別賞を受賞するなど、日本での地位を確立しました。

チェン・ミン氏の二胡の旋律は、映画やテレビ番組でも広く用いられています。映画『たそがれ清兵衛』（第76回アカデミー賞外国語作品賞ノミネート）、NHKスペシャル『アジア古都物語』、日中国交回復30周年記念番組『桂林　天下の絶景を行く』、アニメ『火の鳥』、ドラマスペシャル『李香蘭』、大河ドラマ『風林火山』紀行など、数多くの作品に音楽を提供し、その才能を遺憾なく発揮しています。

ソロ活動に加え、国内外の著名なアーティストとの共演も数多く行っています。サラ・ブライトマン、石井竜也、渡辺美里、松本孝弘（B'z）、一青窈、ZARD、林明日香、谷村新司、坂本龍一といった日本のトップミュージシャンに加え、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団との共演も経験し、その音楽性は高く評価されています。

2004年にはコンサートツアーを記録したDVD『Concert Tour i love』をリリース。2010年にはNHK教育テレビで『ニーハオ 二胡! チェンミンと弾こう』の講師を務めるなど、教育活動にも携わっています。

チェン・ミン氏は、二胡という伝統的な楽器を通して、中国と日本の文化交流に大きく貢献しています。彼女の奏でる音色は、多くの聴衆の心を捉え、東西文化の融合を象徴する存在となっています。その活動は、CDやDVD、テレビ出演にとどまらず、二胡教室の開催など、多岐にわたります。彼女の活動は、二胡という楽器の可能性を拡げ、新たな地平を開拓し続けています。今後も、チェン・ミン氏の活動から目が離せません。

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