チェ・ナヨン

チェ・ナヨンは、大韓民国出身の女子プロゴルファーです。主にアメリカのLPGAツアーを主戦場として、その卓越したプレースタイルと堅実なゴルフで世界の舞台で長く活躍しました。

幼い頃からゴルフの才能を発揮し、17歳を迎える2004年にはアマチュア選手でありながら、韓国女子プロゴルフ協会（KLPGA）のプロツアー大会、ADT-CAPSインビテーショナルに出場しました。この大会で、当時すでに世界的な名声を得ており、後に世界ゴルフ殿堂入りも果たすことになる韓国ゴルフ界のレジェンド、朴セリ選手を相手に堂々たるプレーを見せ、4ストローク差をつけて優勝するという衝撃的な勝利を飾りました。この歴史的な勝利は、若きチェ・ナヨンの名を広く知らしめ、同年11月には満を持してプロへ転向します。プロ転向後もその勢いは止まらず、2004年から2007年までの4年間、KLPGAツアーで毎年1勝ずつを積み重ね、韓国国内での地位を確立しました。

韓国での成功を背景に、チェ・ナヨンは世界最高峰の舞台であるLPGAツアーへの挑戦を決意します。2007年には、LPGAとKLPGAの共催大会であるハナ銀行コロン選手権に出場し、8位という成績を残しました。同年秋、LPGAツアーのシード権獲得をかけたクオリファイングトーナメントに挑みますが、惜しくも翌2008年シーズンの完全シード権（すべての大会への出場権）獲得にはわずか2打届きませんでした。しかし、高い順位で条件付き出場権を手にしたことに加え、堅実なプレーで出場機会を得た大会で軒並み好成績を収めたため、結果的にほとんどのトーナメントに出場することができました。このLPGAでのルーキーシーズンとなった2008年は、出場した27大会で9回ものトップ10フィニッシュを果たすなど、安定した強さを見せつけました。年間獲得賞金は100万ドルを超え、マネーランキングでは11位にランクインしました。この年の年間最優秀新人賞（ルーキー・オブ・ザ・イヤー）のタイトル争いでは、最終的な受賞者であるヤニ・ツェン選手に次ぐ2位となり、その実力を世界に証明しました。

2009年に入ると、チェ・ナヨンはLPGAツアーでさらなる飛躍を遂げます。同年10月には、LPGA賞金ランキング上位者など限られた選手だけが出場できる格式高い大会、サムスン世界選手権で待望のLPGAツアー初優勝を飾りました。この勝利は、彼女のLPGAキャリアにおける大きな節目となりました。初優勝からわずか2週間後には、韓国で開催されたLPGAとKLPGAの共催大会、ハナ銀行コロン選手権で再び優勝し、シーズン2勝目を挙げました。LPGAツアー通算3勝目は、2010年7月のジェイミー・ファー・オーウェンス・コーニング・クラシックでした。この大会では、最終日を終えて複数の選手が同スコアで並び、サドンデス方式のプレーオフにもつれ込む混戦となりましたが、チェ・ナヨンは他の3選手との激しい競り合いを制し、プレーオフ2ホール目で優勝を決めました。

2010年は、チェ・ナヨンにとってまさにキャリアの絶頂期と言えるシーズンとなりました。年間を通じて consistent な強さを発揮し、多くの大会で上位に食い込みます。その結果、年間獲得賞金ランキングでトップに立ち、LPGAツアーの賞金女王のタイトルを初めて獲得しました。さらに、そのシーズンの平均ストロークが最も少なかった選手に贈られる栄誉あるベアトロフィーも同時に受賞し、名実ともにLPGAツアーを代表するトッププレーヤーとしての地位を不動のものとしました。

そして、チェ・ナヨンのプロゴルファーとしてのキャリアにおける最大のハイライトは、2012年7月に訪れました。世界中の強豪が集結する女子ゴルフの最高峰の舞台の一つである全米女子オープン選手権において、4日間の厳しい戦いを勝ち抜き、見事に優勝を飾りました。この勝利は、自身にとって初のメジャー選手権制覇であり、長年の努力が実を結んだ瞬間でした。

プロゴルファーとして長きにわたり、LPGAツアーで9勝、KLPGAツアーで8勝、合わせて通算15勝を挙げる輝かしい実績を残しました。世界のトップレベルで戦い続けた後、2022年10月、自身のマネジメント会社を通じて現役からの引退を正式に表明し、華やかなプロキャリアに幕を下ろしました。その堅実なプレーと明るいキャラクターで、多くのゴルフファンに愛された選手でした。

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