チコ・ロール

チコ・ロール：オーストラリアを代表する国民食

チコ・ロールは、オーストラリアで広く愛されている手軽な軽食です。揚げたてサクサクの衣に包まれた、独特の風味と食感は、老若男女問わず人気を集めています。その歴史は古く、1951年にフランク・マッケンロー氏によって考案されました。

歴史

開発秘話

チコ・ロールの生みの親であるマッケンロー氏は、ビクトリア州ベンディゴ出身の元ボイラー製造工人でした。1950年、彼は屋外イベントで中華風のロールを販売しているのを見て、独自のアイデアで新たな軽食を開発することを決意します。既存のロールは屋外で食べるには不向きだったため、より大きく、食べ応えのあるロールを目指しました。その結果生まれたのが、1951年にウォガウォガ農業見本市で初披露されたチコ・ロールです。

人気の急上昇

1960年代、マッケンロー氏は家族と共にメルボルンに移住し、改良した機械でチコ・ロールの大量生産を開始します。人気はうなぎ登りで、メルボルン郊外に工場を移転。その後、地元企業との合併を経て、1963年には株式公開を果たしました。1965年には、オーストラリアのテイクアウト店、特にフィッシュ＆チップス店で広く取り扱われるようになり、「チコをつかもう（Grab a Chiko）」というキャッチコピーと共に、国民的軽食として地位を確立しました。1970年代には年間4000万個ものチコ・ロールが販売され、その人気は頂点に達しました。

近年の展開

1995年以降は、シンプロット社がチコ・ロールの製造・販売を担っています。現在もニューサウスウェールズ州バサーストの工場で、独自の装置を用いた大量生産が行われています。ペイストリー生地と具材を同時に生産し、ロール状にした後、自動でカット、折りたたみ加工が施され、あの独特の形状が作られています。

近年は競合商品の増加により、チコ・ロールの消費量は減少していますが、スポーツイベントなどでは未だ根強い人気を誇り、フィッシュ＆チップス店やスーパーマーケットなどで広く販売されています。2016年には、その発祥地を巡ってオーストラリア連邦議会で論争が起きるなど、オーストラリアの食文化において重要な位置を占めていることが分かります。

チコ・ロールの特徴

チコ・ロールの中身は、キャベツと大麦がベース。ニンジン、グリンピース、牛肉、牛脂、小麦シリアル、セロリ、タマネギなどの具材が加えられ、半流動状の具材を厚い生地で包み込んでいます。この独特の具材と、食べやすい形状が、人々の支持を集める理由の一つと言えるでしょう。

広告とイメージ

チコ・ロールの広告は、1950年代から「チコ・チック」と呼ばれる魅力的な女性を起用し、「チコ・ロールは欲しくない？（Couldn't you go a Chico Roll?）」というキャッチコピーで知られています。時代に合わせて広告戦略は変化しており、近年は親しみやすいイメージへと転換を図っています。

まとめ

チコ・ロールは、オーストラリアの食文化を象徴する存在です。その歴史、製造方法、人気、そして広告戦略など、多角的に見ていくことで、オーストラリア社会との深い関わりが見えてきます。これからも、チコ・ロールは、オーストラリアの人々にとって、特別な軽食であり続けることでしょう。

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