チゴモズ

チゴモズ (稚児百舌)

チゴモズ（Lanius tigrinus）は、日本を含むアジア各地に分布する鳥類で、スズメ目モズ科に属します。本種は特徴的な外見と習性を持ち、生態系において重要な役割を果たしています。特に、日本では主に夏季に観察される夏鳥として知られています。

分布

チゴモズの生息地は広く、インドネシアやカンボジア、シンガポール、スリランカなどの東南アジア諸国から、大韓民国、中国、台湾、日本、フィリピン、ラオスまで及びます。冬季には中国南部やフィリピンのスマトラ島で越冬します。日本国内では、主に本州の東北から中部地方に局所的に分布し、稀に九州でも繁殖が見られます。実際に2006年には広島県での繁殖例が報告されていることから、地域によってその生息状況が異なることが伺えます。

形態

チゴモズは全長約18.5センチメートル、体重は25から33グラム程度の小型の鳥です。その外観はオスとメスで顕著に異なり、オスは青灰色の頭部に黒い筋模様が特徴です。対してメスは灰褐色の頭部で、眼先は汚白色をしています。また、肩や背中、尾羽根の基部には赤褐色の羽毛があり、白い腹部とのコントラストが美しく、口ばしは黒色で、足は灰黒色をしています。

生態

主に低地から低山地に生息し、明るい広葉樹林や混交林を好みます。チゴモズは群れを作ることは少なく、単独かペアで生活することが多いです。食物には主に昆虫が含まれ、ウスリー地方では川辺の低木林と森林のエッジで観察されることが多いです。特に、雛に与える食物には鱗翅目の幼虫やカナブン、カマキリ、コオロギなどが報告されています。興味深いことに、捕らえた獲物を枝に突き刺す行動（はやにえ）も見られます。

繁殖は卵生で、郊外の雑木林やゴルフ場の松林などで行われます。高い木の枝に巣を作り、その巣は木の枝や樹皮、細根などを用いて皿状に構築します。巣には通常3から6個の卵が産まれ、約15〜16日で抱卵され、雛は約14日後に巣立ちますが、巣立った後も約2週間は親鳥の縄張り内で生活します。また、アカモズと交配し、種間雑種を形成することも確認されています。

人間との関係

日本におけるチゴモズは、分布が局地的であるため生息数が元々少ないと考えられています。1978年の調査では確認されていた生息地が、1998年にはほとんど見られなくなるなど、減少傾向にあります。東京都や埼玉県では都市開発によって生息地が消滅しました。また、1997年から2002年の間には僅か2メッシュでしか繁殖が確認されておらず、近年では環境の悪化や栖息地の減少がその要因として挙げられています。現在、チゴモズは絶滅危惧IA類（CR）に指定されており、保全対策が求められています。

まとめ

チゴモズはその独特の生態特性を持ちながらも、環境変化の影響を強く受けている鳥類です。生息地の保護や適切な環境の確保が、この貴重な種を守るためには必要不可欠です。

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