モズ科

モズ科（Laniidae）とは

モズ科は、スズメ目に分類される鳥類の科の一つです。一般的に「モズ」と呼ばれる鳥類が含まれますが、狭義にはその中の1種を指します。モズ科の鳥類は、その独特な生態と形態で知られています。

生息地

モズ科の鳥類は、主にユーラシア大陸とアフリカ大陸に分布しており、一部の種はニューギニアやアメリカ大陸にも生息しています。この広範な分布は、モズ科の鳥類が多様な環境に適応していることを示しています。

形態

モズ科の鳥類は、全長15cmから38cm程度と種によって大きさが異なります。体型は比較的がっしりしており、嘴は鉤状に曲がっているのが特徴です。

食性

モズ科の鳥類は肉食性で、昆虫、小鳥、小爬虫類、小哺乳類など様々な動物を捕食します。その捕食方法は特徴的で、獲物を木の枝などに突き刺す「はやにえ」という行動を行います。この行動は、獲物を保存するだけでなく、捕食しやすい状態にするためだと考えられています。カール・フォン・リンネは、モズ科の鳥類を猛禽類として分類していました。

モズ科の分類

国際鳥類学会議（IOC）によると、モズ科は4属33種で構成されています。

属と種

以下にモズ科の属と種を一覧で示します。

Corvinella属
キバシオナガモズ Corvinella corvina （Yellow-billed Shrike）
Urolestes属（Corvinella属から分離）
シロクロオナガモズ Urolestes melanoleucus （Magpie Shrike）
シロズキンヤブモズ属 Eurocephalus
キタシロズキンヤブモズ Eurocephalus rueppelli （Northern White-crowned Shrike）
シロズキンヤブモズ Eurocephalus anguitimens （Southern White-crowned Shrike）
モズ属 Lanius
チゴモズ Lanius tigrinus （Tiger Shrike）
カタジロチゴモズ Lanius souzae （Souza’s Shrike）
モズ Lanius bucephalus （Bull-headed Shrike）
アカモズ Lanius cristatus （Brown Shrike）
セアカモズ Lanius collurio （Red-backed Shrike）
アカオモズ Lanius isabellinus （Isabelline Shrike）
アカオモズ Lanius phoenicuroides （Red-tailed Shrike）（L. isabellinus から分離）
ハイガシラモズ Lanius collurioides （Burmese Shrike）
アフリカセアカモズ Lanius gubernator （Emin’s Shrike）
クロビタイセアカモズ Lanius vittatus （Bay-backed Shrike）
タカサゴモズ Lanius schach （Long-tailed Shrike）
チベットモズ Lanius tephronotus （Grey-backed Shrike）
フィリピンモズ Lanius validirostris （Mountain Shrike）
ハグロカタシロモズ Lanius mackinnoni （Mackinnon’s Shrike）
ヒメオオモズ Lanius minor （Lesser Grey Shrike）
アメリカオオモズ Lanius ludovicianus （Loggerhead Shrike）
オオモズ Lanius excubitor （Great Grey Shrike）
ミナミオオモズ Lanius meridionalis （Southern Grey Shrike）
ステッポオオモズ Lanius pallidirostris （Steppe Grey Shrike）（L. meridionalis から分離）
オオカラモズ Lanius sphenocercus （Chinese Grey Shrike）
ハグロオナガモズ Lanius excubitoroides （Grey-backed Fiscal）
オグロオナガモズ Lanius cabanisi （Long-tailed Fiscal）
ズグロオナガモズ Lanius dorsalis （Teita Fiscal）
オジロオナガモズ Lanius somalicus （Somali Fiscal）
カタジロオナガモズ Lanius collaris （Common Fiscal）
タンザニアオナガモズ Lanius marwitzi （Uhehe Fiscal）
サントメオナガモズ Lanius newtoni （Sao Tome Fiscal）
ズアカモズ Lanius senator （Woodchat Shrike）
シロクロモズ Lanius nubicus （Masked Shrike）

日本で見られるモズ科の鳥類

日本では、モズ属の以下の種が確認されています。

アカモズ Lanius cristatus superciliosus
シマアカモズ Lanius cristatus lucionensis
オオモズ Lanius excubitor
チゴモズ Lanius tigrinus
モズ Lanius bucephalus

種の保全状況

国際自然保護連合（IUCN）により、多くのモズ科の種が軽度懸念（LC）に指定されています。しかし、日本の環境省は、チゴモズを絶滅寸前（CR）、アカモズを絶滅危惧（EN）に指定しており、注意が必要です。

出典

Laniidae - ITIS（英文）

外部リンク

Laniidae - ITIS（英文）

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