チタン酸塩

チタン酸塩：多様な構造と特性

チタン酸塩は、一般的に酸化チタンを主成分とする無機化合物群を指します。チタンを含むアニオンを構成要素とする化合物も存在しますが、本稿では酸化物を中心に解説します。チタン酸塩は、その多様な構造と特性から、様々な用途で利用されています。

チタンの酸化物は、多くの種類が知られており、その多くは白色の反磁性体で、高い融点と低い水溶性を特徴とします。多くのチタン酸塩は、二酸化チタンを高熱で処理することで合成されます。合成には、例えば管状炉が用いられます。チタン原子は、ほとんどの場合、八面体構造を形成しています。

オルトチタン酸塩：スピネル構造と例外

オルトチタン酸塩は、一般式M₂TiO₄（Mは二価のカチオン）で表される化合物です。代表的な例として、スピネル型構造を持つチタン酸マグネシウム(Mg₂TiO₄)が挙げられます。しかし、Li₂TiO₃のように、岩塩型構造を持ち、チタンアニオンが見られないため、チタン酸塩とはみなされない化合物も存在します。通常、オルトチタン酸塩ではTiO₄⁴⁻中心は識別しにくいですが、オルトチタン酸バリウムは例外です。

チタン酸とエステル：不安定なチタン酸と安定なエステル

H₄TiO₄(CASNo 20338-08-3)は、チタン酸、またはチタン酸と水酸化チタンと呼ばれる化合物です。明確な定義はありませんが、TiCl₄の加水分解によって生成されます。固体は水分の脱離に対して不安定で、容易に二酸化チタンへと変化します。一方、オルトチタン酸のエステルは安定しており、オルトチタン酸テトライソプロピルなどが知られています。小さなアルコールから誘導されたエステルはより複雑な構造をとり、チタンは八面体構造をとることが多いです。

メタチタン酸塩：イルメナイトとペロブスカイト構造

メタチタン酸塩は、一般式MTiO₃（Mは二価のカチオン）で表される化合物です。分離したTiO₃²⁻中心は持ちません。中には、コランダム様の六方最密充填構造を持つものもあり、商業的に重要な鉱物であるイルメナイト(FeTiO₃)はその代表例です。一方、ペロブスカイト構造を持つMTiO₃も存在し、その代表例が灰チタン石(CaTiO₃)です。チタン酸バリウムは強誘電性を示すペロブスカイト型チタン酸塩です。

より複雑なチタン酸塩：多様な組成と構造

チタン酸ビスマス(Bi₄Ti₃O₁₂)など、より複雑な組成と構造を持つチタン酸塩も数多く知られています。これらの化合物は、独自の結晶構造と特性を示し、それぞれの用途に合わせた特性を活かされています。

まとめ

チタン酸塩は、その多様な組成と構造、そして特性から、様々な分野で活用されています。本稿では、代表的なチタン酸塩の構造と性質を概観しましたが、更なる研究によって、新たなチタン酸塩とその応用が発見される可能性を秘めています。

もう一度検索