チッタ相応

チッタ相応（Citta-saṃyutta）

「チッタ相応」とは、パーリ仏典の経蔵相応部に位置づけられている重要なテキストであり、特に心や意識に関連する教義を中心に展開されています。これは第41相応であり、異なる文化圏においては「質多相応」という名称でも知られています。

このテキストは、全10経からなり、それぞれに独自のテーマや教えがあります。以下にその内容を簡単にご紹介します。

1. Saṃyojana-sutta - これはモーメントや束縛について述べており、どのように人々が心の状態によって制約を受けるかを探ります。
2. Paṭhama-isidatta-sutta - 初めの教えでは、心の成長と清浄さに焦点を当て、自己の洞察を促します。
3. Dutiya-isidatta-sutta - 2番目の教えも同じテーマを扱い、心の働きに関するさらなる理解を深めます。
4. Mahakapāṭi-hāriya-sutta - より体験的な教訓を提供し、心をどのように調和させるかを学びます。
5. Paṭhama-kāmabhū-sutta - 欲望とその影響について考察し、心の解放へと導きます。
6. Dutiya-kāmabhū-sutta - 欲望のさらなる探求を行い、より深い自己理解を促します。
7. Godatta-sutta - これは、心の取り扱いについて具体的なアドバイスを提供する内容です。
8. Nigaṇṭhanāṭaputta-sutta - 様々な教えに対する反応を分析し、知恵の重要性に触れます。
9. Acelakassapa-sutta - 精神的な目覚めに関する指導が中心となります。
10. Gilānadassana-sutta - 最後の経では、苦しみとその解放に関しての深い洞察が語られます。

このように、チッタ相応は心に関する教えを通じて、仏教徒が心の性質を理解し、それを元に自己を磨くための示唆を与えています。特に、日本での仏教研究では、2つの重要な翻訳があります。一つは『南伝大蔵経・経蔵・相応部経典4』（第15巻、著者：大蔵出版）であり、もう一つは『原始仏典II 相応部経典4』で、監修は中村元氏によるものです。これらの文献にアクセスすることで、チッタ相応の教えをより深く探求することが可能です。

このテキストは、心の理解のみならず、仏教の教えがいかに人々の生活に影響を与えるかを示す重要な資料として位置づけられています。自己理解や精神的な成長を追い求めるすべての人にとって、貴重な指導を提供するでしょう。

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