チャカ (ブルガリア皇帝)

チャカ (第二次ブルガリア皇帝)

チャカ（生年不詳 - 1300年）は、13世紀末に短期間ブルガリア皇帝の座についた人物です。ジョチ・ウルスの有力者ノガイを父に持ち、その出自からブルガリアの政治に深く関わることとなりました。

生涯

1290年代末、父ノガイがジョチ・ウルスのトクタ・ハンと対立すると、チャカは兄弟とともにトクタへの敵対姿勢を明確にします。テレク川の戦いでノガイが戦死した後、チャカは父の軍を率いるものの、内部対立から部下の離反を招き、ハンガリー方面へ逃亡。その後、義兄弟であるテオドル・スヴェトスラフが統治するブルガリアへ亡命します。

ブルガリアに亡命したチャカは、タルノヴォで皇帝に擁立されます。貴族たちを買収し、支持を得ようとしましたが、その帝位は長くは続きませんでした。トクタ・ハンの命令を受けたテオドル・スヴェトスラフによって監禁され、処刑されます。チャカの首は塩漬けにされ、トクタ・ハンの元へ送られ、ブルガリアはその代償としてドナウ・デルタとベッサラビアを獲得しました。

チャカの子であるカラ・ケシクは、父の西方逃亡後もジョチ・ウルスに留まりましたが、反乱に失敗し、トクタによって追放されます。その後、1301年頃にブルガリアへ流れ着き、シシュマン家の庇護のもと、略奪で生計を立てたと伝えられています。

チャカの生涯は、ジョチ・ウルスの内紛とブルガリアの政治的混乱が複雑に絡み合った時代を象徴しています。その短い帝位は、ブルガリアとジョチ・ウルスの関係に大きな影響を与えました。

ボアル家系図

[ジョチ]
[ボアル]
タタル(Tatar ＞تاتار/tātār)
[ノガイ]
チュケ(Čekke ＞جکه/jaka)
カラ・ケセク(Qara keseg ＞قارا کیساک/qārā kīsāk)
テケ(Tekke ＞تکه/taka)
トライ(Torai ＞تورای/tūrāy)

参考文献

C.M.ドーソン『モンゴル帝国史』6巻（佐口透訳注, 東洋文庫, 平凡社, 1979年）
森安達也、今井淳子共訳編『ブルガリア 風土と歴史』（恒文社, 1981年）
I.ディミトロフ、M.イスーソフ、I.ショポフ『ブルガリア 1』（寺島憲治訳, 世界の教科書=歴史, ほるぷ出版, 1985年）
赤坂恒明『ジュチ裔諸政権史の研究』（風間書房, 2005年）

関連項目

ノガイ
シメオン・ベクブラトヴィチ

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