チャコ戦争

チャコ戦争

チャコ戦争（1932-1938）は、ボリビアとパラグアイが未確定の国境地帯であるグラン・チャコを巡って戦った歴史的な争いです。この地域には豊富な石油が埋蔵されているとの噂が広まり、両国は領土獲得を目指し激突します。ボリビアの先制攻撃により戦闘が始まりましたが、勢力の差でパラグアイが優位に立ちました。最終的には周辺国の仲介による講和条約が結ばれ、パラグアイが地域の支配権を得る結果となります。

戦争の背景

グラン・チャコは、植民地時代からボリビア側とパラグアイ側で領有権が争われてきました。ボリビアは、1879年の太平洋戦争で海への出口を失い、パラグアイ川を独占的に利用したいとの希望を抱いていました。一方、パラグアイも三国同盟戦争後の復興に向けて領土拡大を求めていました。この複雑な背景が、両国間の緊張を生む要因となりました。

特に注目すべきは、チャコ地方での石油資源の可能性が発見されたことです。この利益を得るために双方が独自の施策を講じ、ボリビアは要塞を建設し実効支配を図ります。1931年には両国間で国交が断絶し、1932年6月15日、ついに戦争の勃発へと至ります。

戦争の経過

ボリビアは第一次世界大戦で経験を積んだドイツ人将校を通じて指揮を強化し、一方パラグアイはロシアの亡命軍人の助けを受けて抗戦します。両国の兵員数はボリビアが圧倒的に多く、近代装備も揃えていましたが、地域住民の団結力や土地勘はパラグアイ側に利がありました。戦争開始直後、ボリビア軍は要衝を攻略し、戦局は優勢に進んでいるかのように見えました。

しかし、パラグアイ軍も圧力をかけて応戦し、1932年7月以降、重要な要塞を相次いで奪回。戦闘は泥沼化し、双方が膨大な人的損失を被ります。

停戦と和平

1933年には一時的な停戦が実現し、戦線は徐々に膠着状態に入ります。そして、1938年にブエノスアイレス講和条約が結ばれ、広大なチャコ地方がパラグアイに帰属することが決まりました。ボリビアは細い領土を獲得して大西洋への水路を得るも、経済的には大した利益を得られなかったと言われています。

戦争の結果

チャコ戦争は、両国に大きな傷を残しました。ボリビアではおよそ5万から6万人、パラグアイでは4万人の死者が出たとされています。当時のボリビアの人口は300万人に達しており、国民の50人に1人が戦争で命を失った計算になります。また、戦争後の経済や政治情勢は不安定な状況が続きました。

結局、チャコ地方に関しては現在まで石油の発見には至っておらず、ボリビアも防衛線を維持するため、新たなアイデンティティを模索する動きが始まります。この戦争で養われたナショナリズムは後のボリビア革命へと繋がり、またパラグアイでは軍部が政権を握り政策の改革が進められました。

この戦争は、南米の国々における領土争いと政治的風潮に大きな影響を及ぼし、後の歴史に深い爪痕を残しました。

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