チャシコツ岬上遺跡

チャシコツ岬上遺跡について

チャシコツ岬上遺跡（ちゃしこつみさきうえいせき）は、北海道の斜里郡斜里町に所在し、オホーツク文化期の集落跡を示す重要な考古学的な遺跡です。この遺跡は2019年2月26日に国史跡として認定されました。初めての調査が行われたのは昭和24・25年で、以降しばらくの間は調査が行われませんでしたが、平成25年からは町立知床博物館の研究者たちによる本格的な調査が開始されました。これにより、オホーツク文化終末期に関わる集落跡としての特性が明らかになりました。

概要と遺跡の特徴

チャシコツ岬上遺跡は、サハリンや北海道、千島列島などのオホーツク海沿岸に広がるオホーツク文化の中心的な拠点として位置付けられています。この遺跡は知床半島の南西端にある海岸段丘の上にあり、標高55ｍの岬に位置しています。この地域には、8世紀から9世紀にかけて構築された31棟の竪穴建物や墓、廃棄場など、様々な遺構が密集して存在しています。

出土された遺物の分析により、住民たちがオホーツク海で豊富に捕獲できる海獣の狩猟や漁労を主な生業としていたことが分かりました。これにより、オホーツク文化が海に適応した社会であったことが浮かび上がります。また、古代日本で使用された神功開宝が出土していることから、本州との文化的な交流もあったことが示唆されています。

文化的な意義

さらに、この遺跡に存在する竪穴建物の一部にはヒグマ骨塚が見つかっており、これは独自の動物儀礼が行われていたことを示しています。動物にまつわる信仰が見られる骨偶や木製品の存在からは、住民たちの精神世界や文化的背景が垣間見えます。オホーツク文化は最終的に地域の擦文文化と共に融合し、特有のトビニタイ文化を形成することになりますが、チャシコツ岬上遺跡では、トビニタイ文化期の遺構も一部発見されており、この文化がどのように変容したのかを知る手がかりともなっています。

このように、チャシコツ岬上遺跡は、日本の古代文化を研究する上で欠かせない重要な遺跡であり、特に本州における古代律令国家の隆盛と、北方地域の文化の実態を探るための貴重な資料を提供してくれます。この遺跡の研究が進むことで、より深く日本の歴史や文化について理解が進むことでしょう。

参考文献

文化庁による「チャシコツ岬上遺跡」の公式記録や関連資料に基づいて情報が整理されています。

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