チャセンシダ科

チャセンシダ科（Aspleniaceae）

チャセンシダ科は、シダ植物門に属する植物群の一つで、非常に多様な形態のシダを含むグループです。この科の植物は、網状中心柱を持つこと、葉脈が網状であること、胞子のう群が葉脈に沿って細長く伸びること、そして長い包膜が脈につくことなどの特徴によって区別されます。

外見は非常に多様で、オオタニワタリのように巨大な単葉を持つものから、クモノスシダのように小さなもの、クルマシダのような大柄な羽状複葉を持つものから、チャセンシダのような小柄なもの、ヒノキシダのように細かく裂けた葉を持つものまで様々です。茎は短いものが多く見られますが、ホウビシダのように長く地を這うものも存在します。

分類

チャセンシダ科には世界で約700種が知られていますが、分類はまだ十分に進んでいるとは言えません。一部の種については、雑種の形成や倍数化といった種が形成される過程が詳しく研究されています。日本に分布する種は、一般的にチャセンシダ属（Asplenium）にまとめられますが、細分化する説もあります。

日本からは約40種が知られており、その形態は多岐にわたります。以下に、おおよその形態別に主な種を挙げます。

単葉をつける大型種

オオタニワタリ (A. antiquum)：大きな単葉を持つ代表的な種です。
コタニワタリ (A. sclopendrium)：オオタニワタリよりやや小型の単葉を持ちます。

単葉をつける小型種

クモノスシダ (A. ruprechii)：小型で特徴的な葉を持つ種です。
フササジラン (A. griffithianum)：匙型の葉を持つユニークな種です。

単羽状複葉の大柄な種

クルマシダ (A. wightii)：大きな羽状複葉を持つ種です。
ムニンシダ (A. polyodon)：羽状複葉で、葉の切れ込みが特徴的です。
オトメシダ (A. tenerum)：柔らかい印象の羽状複葉を持つ種です。

単羽状複葉の小型種

チャセンシダ (A. trichomanes)：細長い羽状複葉を持つ代表的な種です。
カミガモシダ (A. oligophlebium)：やや小型で繊細な印象の種です。
ヌリトラノオ (A. normale)：特徴的な葉の模様を持つ種です。
ホウビシダ (A. hondoensis)：地を這う茎を持つ種です。

細かく裂けた葉を持つ小型種

ヒノキシダ (A. prolongatum)：細かく裂けた葉を持つ種です。
コウザキシダ (A. ritoense)：小型で繊細な印象の種です。
アオガネシダ (A. wilfordii)：やや青みがかった葉を持つ種です。
トラノオシダ (A. incisum)：葉の切れ込みが特徴的な種です。

参考文献

岩槻邦男編『日本の野生植物　シダ』(1992) 平凡社

この文献は、チャセンシダ科を含む日本のシダ植物全般について詳しく解説しています。

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