チャップリンのお仕事

『チャップリンのお仕事』は、1915年に公開されたチャールズ・チャップリン監督・主演の短編サイレント映画です。エッサネイ社によって製作され、チャップリンの映画出演としては44作目にあたります。

あらすじ

内装業の見習い職工であるチャーリーは、親方とともに裕福な家の内装の張り替え作業を行います。しかし、その家では主人が朝食の遅さに妻をなじり、妻は使用人たちに指示を出し、自称フランス人伯爵が訪問するなど、騒がしい状況です。チャーリーは壁紙と格闘するうちに家中を汚し、事態はますます混乱。ついにはストーブが爆発し、家は木っ端みじんに壊れてしまいます。

背景

映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは、本作における労働が否定的に描かれている点を指摘しています。特に、チャーリーが重い荷車を引き、親方からひどい扱いを受けるシーンは、「奴隷労働を描いた悪夢」と評されています。しかし、これは単なる悲劇ではなく、チャーリーが後に親方へ反撃するための伏線ともなっています。

また、チャップリンは中流階級と労働者階級の間の不信感を巧みに皮肉っています。例えば、家の主婦が銀食器を隠す一方で、チャーリーがこっそり金目の物を盗み、自分のポケットにしまうシーンは、チャップリンの洞察力を示しています。ロビンソンは本作を「D・W・グリフィスの大作に劣らぬ独創性を示していた」と評価しています。

壁紙張りのシーンは、後の『サーカス』や『ニューヨークの王様』にも登場します。撮影にはブラッドベリ・マンションが使用され、後にマジェスティック撮影所となりました。ラストの家が倒壊するギャグは、キーストン時代の作品のリメイクです。

キャスト

チャールズ・チャップリン - 内装業の見習い職工
チャールズ・インズリー - 内装業の親方
エドナ・パーヴァイアンス - メイド
ビリー・アームストロング - 家の主
マータ・ゴールデン - 家の主の妻
レオ・ホワイト - 紳士の訪問客
* パディ・マグワイア - 石膏の担ぎ手

『チャップリンのお仕事』は、チャップリンの初期の才能が光る作品であり、彼のコメディと社会風刺のセンスが存分に発揮されています。

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