レオ・ホワイト

レオ・ホワイト：喜劇映画を彩った名脇役

レオ・ホワイト（1873年11月10日 - 1948年9月20日）は、プロイセン王国（現ポーランド）出身のアメリカ合衆国の俳優、コメディアンです。1910年代から1940年代にかけて、チャールズ・チャップリンや「ファッティ」ロスコー・アーバックルといった大物コメディアンの作品に数多く出演し、その個性的な演技で観客を魅了しました。

胡散臭い伯爵役で人気を博す

レオ・ホワイトは、特に胡散臭さ漂う成りすまし伯爵の役柄を得意としていました。彼の演じる伯爵は「フランス人伯爵」とも呼ばれ、観客に愛されました。この「フランス人」という呼称は、必ずしもフランス国籍を指すものではなく、ミュージックホールで演じられていた寸劇に登場するステレオタイプなキャラクターを意味していました。

ミュージックホールから映画界へ

レオ・ホワイトは1873年、プロイセン王国のグラウデンツ（現ポーランド領グルジョンツ）で生まれました。生年については諸説ありますが、1890年代後半からミュージックホールの舞台でキャリアをスタートさせました。1910年、ハリウッドの演劇プロデューサー、ダニエル・フローマンに見出されてアメリカに渡り、映画界へ転身。1914年にはエッサネイ社と契約を結びました。

チャップリンとの出会いと軋轢

エッサネイ社には、当時すでに人気コメディアンだったベン・ターピンが在籍していました。1914年末には、キーストン社からチャップリンが移籍。レオ・ホワイトは、エッサネイ時代からミューチュアル社時代にかけてのチャップリン作品に、常連の脇役として出演するようになります。初期の作品では、『チャップリンの役者』でユサール将校を騙る役を演じました。

しかし、レオはチャップリンに忠実でありながらも、エッサネイ社にも忠誠を誓っていました。チャップリンがエッサネイ社との契約問題で退社した後、レオはエッサネイ社の命を受け、『チャップリンのカルメン』の追加撮影を監督することになります。ベン・ターピンが演じる新キャラクターのシーンを追加し、カットされたチャップリンの出演シーンを繋ぎ合わせたレオ版『チャップリンのカルメン』は、1916年4月に再公開。これを知ったチャップリンは大きなショックを受け、上映差し止めの裁判を起こしましたが、敗訴してしまいます。エッサネイ社はさらに、『チャップリンの悔悟』の一部と未使用フィルムを繋ぎ合わせた作品を制作し、レオに監督を命じました。この作品はチャップリンの承認を得ておらず、映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは「失敗作」と評していますが、レオの演出自体は一定の評価を与えています。

チャップリン以外のコメディアンとの共演

レオ・ホワイトは、チャップリン以外にも多くのコメディアンと共演しています。特に、チャップリンの模倣俳優として知られるビリー・ウェストとの共演は、チャップリン研究者を混乱させるほどでした。ビリー・ウェストは、髪型や仕草、利き手までチャップリンを徹底的に模倣し、レオをはじめとするチャップリン映画の出演者を起用していました。そのため、ビリー・ウェストの作品が「チャップリンの未発見初期映画」として発見されたこともありました。

ドラマ作品への進出と晩年

1920年代に入ると、レオ・ホワイトはコメディ作品だけでなく、ドラマティックな作品にも出演するようになります。『血と砂』では、当時のセックス・シンボル、ルドルフ・ヴァレンティノと共演。『ベン・ハー』（1925年）にも出演しました。1930年代以降は、『オペラは踊る』（1935年）など、マルクス兄弟の作品に端役として出演しています。

晩年には、再びチャップリンと共演。1940年の『独裁者』では、チャップリンが二役で演じるヒンケル付きの理容師役として出演しました。その後も、『カサブランカ』（1942年）など、ワーナー・ブラザース製作の作品に出演し続けました。

1948年9月20日、レオ・ホワイトはカリフォルニア州グレンデールで74歳で亡くなり、グランド・ビュー記念公園墓地に埋葬されました。生涯に二度の結婚をし、5人の子どもを残しています。

主な出演作品

One Wonderful Night （1914年）
チャップリンの役者（1915年）
アルコール先生公園の巻（1915年）
チャップリンの駈落（1915年）
チャップリンの失恋（1915年）
チャップリンのカルメン（1915年）
チャップリンの伯爵（1916年）
ベン・ハー（1925年）
オペラは踊る（1935年）
独裁者（1940年）
* カサブランカ（1942年）

レオ・ホワイトは、その個性的な演技と存在感で、数多くの映画作品を彩りました。彼の演じたキャラクターたちは、今もなお多くの人々に愛されています。

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