チャトリ・シットヨートン

チャトリ・シットヨートン：ONE Championshipを築いた男

チャトリ・シットヨートン（Chatri Sityodtong）は、タイ出身でシンガポールを拠点に活動する実業家であり、アジア最大の格闘技団体ONE Championshipの創設者、会長兼CEOとして知られています。彼の波乱万丈な人生と、格闘技への情熱が、ONE Championshipの成功にどのように結びついたのでしょうか。

生い立ちと苦難の時代

1971年、タイ人の父と日本人の母の間にタイで生まれたチャトリ。幼少期は裕福な家庭で育ちましたが、1990年代のアジア通貨危機により父親の会社が倒産。父は失踪し、チャトリは苦学を強いられます。1994年にタフツ大学経済学部を卒業後、1999年にはハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。経済的な苦境を乗り越え、エリートとしての道を歩み始めました。

ウォール街での成功と転身

MBA取得後、チャトリはフィデリティ・インベストメンツで投資アナリストとしてキャリアをスタートさせます。その後、ハーバード大学の同級生とネクストドア・ネットワークスを設立。さらに、120億米ドルのヘッジファンドであるマーベリック・キャピタルでマネージングディレクター、ファラロン・キャピタルの支援を受け、5億米ドルのヘッジファンドであるイザラ・キャピタル・マネジメントを設立するなど、ウォール街で輝かしい実績を築き上げました。

しかし、2000年代半ばにシンガポールへ移住し、ウォール街でのキャリアに終止符を打ちます。この決断の背景には、幼少期から親しんできた格闘技への情熱がありました。

格闘技への情熱とONE Championship設立

幼少期、チャトリはパタヤのシットヨートンジムでムエタイを学び、ヨートン・セナナンから指導を受けました。ムエタイでは30戦以上の試合経験を持ち、上級インストラクターの資格も取得しています。また、2005年からはニューヨークでヘンゾ・グレイシーにブラジリアン柔術を学び、2021年には茶帯を授与されています。

2008年、シンガポールで格闘技ジム「Evolve MMA」を設立。そして2011年、自身の格闘技への情熱とビジネスセンスを融合させ、格闘技団体「ONE Championship」を設立しました。ONE Championshipは、ムエタイ、キックボクシング、MMAなど、様々な格闘技の試合を提供し、アジアを中心に急速に成長。現在では、世界的な格闘技団体としての地位を確立しています。

2022年8月には、タイ王国陸軍から招待を受け、ルンピニー・スタジアムのプロモーターに就任。ムエタイの聖地でのプロモーター業は、彼の格闘技に対する深い愛情を示すものでしょう。

チャトリ・シットヨートンの人生は、逆境を乗り越え、自身の情熱を追求することで成功を掴み取ることができるということを証明しています。ONE Championshipの成功は、彼の格闘技への深い理解と、ビジネスにおける手腕の賜物と言えるでしょう。

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