ルンピニー・スタジアム

ルンピニー・スタジアム：ムエタイの聖地

ルンピニー・スタジアムは、タイの首都バンコクにあるムエタイ専門の競技場です。タイ語では「サナーム・ムアイ・ウェーティー・ルムピニー」と呼ばれ、ラジャダムナン・スタジアムと並び、ムエタイの二大殿堂として世界的に知られています。このスタジアムは単なる競技場ではなく、ムエタイの歴史と文化を象徴する場所であり、多くのムエタイファンにとって憧れの舞台です。

歴史と概要

ルンピニー・スタジアムは1956年12月8日に開設されました。タイ陸軍によって運営されており、スタジアムの総支配人は陸軍の将官が務めています。開設当初の収容人数は約1万人でしたが、2014年に現在の場所に移転し、より近代的な施設となりました。移転前のスタジアムは老朽化が進み、一時移転計画が頓挫したこともありましたが、現在のスタジアムは、より快適な観戦環境を提供しています。ルンピニー・スタジアムは、その権威の高さから、ムエタイ選手にとって最高の目標であり、ここで試合をすることは名誉とされています。

試合開催と特徴

ルンピニー・スタジアムでは、毎週火曜日、金曜日、土曜日に試合が開催されます。火曜日と金曜日は午後6時半から、土曜日は2部制で、夕方の部は午後4時半から、夜の部は午後8時半から試合が始まります。特に土曜日の夜の部は、タイのテレビ局で生中継されるため、全国的に多くのファンが観戦します。試合はムエタイが中心ですが、国際式ボクシングの試合が開催されることもあります。

試合は通常、7試合が組まれ、その中でもメインイベントは特に注目されます。以前は前座試合がありましたが、現在はすべての試合が通しで数えられるようになりました。また、以前は興行内に国際式ボクシングの試合が必ず組み込まれていましたが、現在は減少しています。ルンピニー・スタジアムは、ムエタイの試合だけでなく、選手の育成にも力を入れており、スタジアム直営のムエタイジム《Lumpinee Muaythai School & Gym》を2024年5月に開設しました。

プロモーター

ルンピニー・スタジアムの試合は、公認プロモーターによって運営されています。2012年1月時点で13人のプロモーターがおり、それぞれ独自の興行名を持っています。主なプロモーターには、ウィラット・ワチララタナウォン、バンジョン・ブットラーダムウォン、ピーラポン・ティーラデットポン、プラムック・ロージョンタン、ピヤラット・ワチララタナウォンなどがいます。彼らは、ムエタイの発展に大きく貢献しています。

歴史

ルンピニー・スタジアムは、開設以来、数々の歴史的な出来事を経験してきました。1964年には、極真空手の選手との異種格闘技戦が行われ、1969年には日本人キックボクサーがムエタイ選手に勝利しました。また、1999年には、外国人が初めてルンピニーの王者に輝きました。2000年代には、施設の老朽化により移転計画が持ち上がりましたが、集客の減少を懸念して頓挫しました。2014年には、現在の場所に移転し、新しい歴史を刻み始めています。2021年には初めて女子選手の試合が開催され、2022年には総合格闘技の試合も行われるようになりました。これらの出来事は、ルンピニー・スタジアムがムエタイの進化とともに、常に新しい挑戦を続けていることを示しています。

ルンピニー・スタジアムは、ムエタイの聖地として、その伝統と格式を守りながら、今後も新たな歴史を刻んでいくでしょう。

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