チャンディーガル

チャンディーガルは、インド北部、ヒマラヤ山脈の麓に位置する計画都市です。パンジャーブ州とハリヤーナー州の州都でありながら、どちらの州にも属さない連邦直轄領という独特の地位にあります。都市計画は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエによって行われ、「シティ・ビューティフル」の愛称で親しまれています。

都市の概要

チャンディーガルは、インド国内で最も高い生活水準と収入水準を誇る都市の一つです。ル・コルビュジエの都市計画が国際的に高く評価されており、彼の建築作品は世界遺産にも登録されています。また、都市の西側にはニュー・チャンディーガールの開発も進められています。

名前の由来

都市の名前は、この地にあったヒンドゥー教の寺院で祀られていたチャンディー女神に由来します。「チャンディーの砦」という意味を持ちます。

地理と気候

チャンディーガルは、シヴァーリク丘陵地帯に位置し、面積は約114平方キロメートルです。北側でパンジャーブ州、南側でハリヤーナー州と境界を接しています。亜熱帯モンスーン気候に属し、年間を通じて気温差が大きく、冬季には霜が降りることもあります。年間降雨量は約1110mmです。

歴史

1947年のインド・パキスタン分離独立の際、パンジャーブ州が分割され、州都であったラホールがパキスタン領となったため、新たな州都が必要となりました。既存の都市の改造ではなく、新都市を建設する決定がなされ、チャンディーガルが誕生しました。この都市は、独立インドの初代首相ジャワハルラール・ネルーによって「過去の伝統に束縛されない、将来の新しい国家の信条のシンボル」と位置づけられました。

都市計画は当初、アメリカ人建築家アルバート・マイヤーとポーランド人建築家マシュー・ノヴィッキによって進められていましたが、ノヴィッキの事故死後、ル・コルビュジエが引き継ぎました。彼は、モダニズムの都市計画原則に基づき、都市機能を擬人化して配置しました。

1966年にパンジャーブ州が分割され、ハリヤーナー州が誕生した際、チャンディーガルは両州の州都を兼ねる連邦直轄地となりました。1985年にはパンジャーブ州への委譲が決定しましたが、現在まで実現していません。2007年には、インドで初めて公共空間での喫煙を禁止する条例が施行されました。

建築と都市計画

ル・コルビュジエは、都市機能をゾーニングし、道路には8段階の順列を設けました。歩道と車道を分離し、歩行者用のネットワークを整備しました。チャンディーガールのマスタープランは、マイヤーとノヴィッキのアイデアを継承しつつ、ル・コルビュジエによって再設計されました。都市は、セクターと呼ばれる800m×1200mの区画に分割され、各セクター内だけで生活、労働、レジャーが完結するように設計されています。また、セクターから徒歩10分圏内に学校や大学があるように配慮されています。

道路は、利用速度に応じて7階層に分類され、高速道路から住宅へのアクセス路まで体系的に整備されています。また、都市の周囲には緑地帯が設けられましたが、一部は現在、軍や経済界の要望により転用されています。

セクター1には、議場棟、行政事務棟、高等裁判所などの象徴的な建物が配置されています。これらの建物は、ル・コルビュジエによって設計されました。その他、彼の従兄弟であるピエール・ジャンヌレや、英国人建築家マックスウェル・フライ、ジェーン・ドリュー、そしてインド人建築家たちが、都市の建築に携わりました。チャンディーガールの都市計画は、ル・コルビュジエの初期の都市計画案とは形態的に異なるものの、都市計画史上において重要な位置を占めています。

交通

チャンディーガルには、空港、鉄道駅、主要な国道が整備されています。

特徴

チャンディーガルは、ニューデリーやガンディーナガルなどの他の計画都市とは異なり、ほぼ更地から建設された都市です。都市の設計は、ル・コルビュジエの哲学を反映しており、モダニズム建築の傑作として知られています。

日本語表記には「シャンディガール」という揺れもありますが、現地語の発音に基づくと「チャンディーガル」がより適切です。

チャンディーガルは、その独特な歴史、都市計画、建築によって、多くの人々を魅了し続けています。

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