マックスウェル・フライ
エドウィン・マックスウェル・フライ（Edwin Maxwell Fry, 1899年8月2日 - 1987年9月3日）は、イギリスを代表する都市計画家、そしてモダニズム建築家です。彼は、英国における近代建築運動の先駆者の一人であり、都市計画の分野では、南アフリカや西アフリカでのコンサルタントとしての活動、そしてル・コルビュジエと共にインドのチャンディーガル都市計画を支援したことで知られています。また、建築家としての活動だけでなく、画家、作家、詩人としても才能を発揮しました。
フライは、チェシャー州ウォラシー近郊のリスカードで生まれました。父親はカナダ出身のイギリス系移民でした。1923年にリバプール大学を卒業後、1927年に最初の妻エセルと結婚します。1933年には、アーサー・コーンが委員長を務めるCIAM（近代建築国際会議）のイギリス支部であるMARS委員会に参画し、共同設立者の一人となりました。1934年から1936年にかけては、ヴァルター・グロピウスの下で実務経験を積みました。
初期の作品は個人住宅が中心で、1935年には「セント・レオナルドヒル」「ウインザーヒル」などを手がけました。また、同年にはロンドンのハムステッドに「サンハウス」を設計しています。1936年には、傑作と評される「インピントン・ヴィレッジ・カレッジ」を完成させました。同年からは、1922年にフランシス・ロングスターズ・トンプソンと共同事務所を開設していた都市計画家トーマス・アダムスらと、「アダムス・トンプソン・アンド・フライ・アソシエイツ」を設立し、パートナーシップを組みました。
1935年から1939年にかけては、チャールズ・コンプトン・リードが計画していた南アフリカの鉱山入植地の都市コンサルタント業務を引き継ぎました。この間、1936年には「レヴィー邸」（キングストン/コービー、ニューマルデン）、「チッパーフィールドコモン」（ハートフォードシア）、そして「インピントン・ヴィレッジ・カレッジ」を手がけました。1937年には、ラドブロークグローブやエリザベス・デンビと共同で「ケンサル邸」（ロンドン・ケンジントン）を設計し、1938年にはロンドンのリージェント・ストリートに「エレクトリック・シティ」のショールームを設計しています。
第二次世界大戦中は、西アフリカに渡り、ロイヤルエンジニアと共にナイジェリアで地域計画に従事しました。また、イバダン大学の建築設計にも携わるなど、西アフリカにおける近代建築の先駆者として重要な役割を果たしました。この地で、後に妻となるジェーン・ドリューと出会いました。
1942年、ドリューと結婚し、建築設計事務所「フライ・ドリュー・アンド・パートナーズ」を設立しました。1944年には、ドリューがナイジェリアの都市計画に関する報告書を作成し、村落と交通機関の改善、そして西洋文明の衝撃に備えるための都市開発という3つの課題に焦点を当てることを提唱しました。また、大戦後の兵士帰還に伴う都市への集中を避けるための村落再開発にも力を入れ、予算も大幅に増額されました。フライもドリューとともに改善策や啓蒙活動を展開し、冊子などを刊行しました。
1946年から1973年にかけて、フライはドリューと共に熱帯建築に関する研究を進め、書籍を出版しました。また、ナイジェリアの大学やその他の建物の設計（イバダン大学の他、コーポラティブ・バンクなど）を手がけ、自らの報告書に基づいた都市開発や村落の再開発に取り組みました。
1950年代前半には、インド・パンジャーブ州の新しい州都チャンディーガルの都市計画・住宅設計に従事しました。ル・コルビュジエの協力者として、1951年から1954年にかけて現地に事務所を構えて設計監理を行い、コルビュジエに代わってチャンディーガルに住み、施設の設計・監理を担いました。同時期には、アフリカ各地の大学キャンパスの設計も多く手がけました（セントフランシス大学キャンパス（トーゴ）、アディサデル大学キャンパス、マウリ大学キャンパス、アブリ大学キャンパス（以上ガーナ）など）。
1951年には、ブリティッシュ・フェスティバルの会場を担当し、1953年にCBE（大英帝国勲章コマンダー）を受賞しました。1964年には王立英国建築家協会（RIBA）ゴールドメダルを受賞しました。
その後も、1956年の世界開発銀行（ナイジェリア・イバダン）、1958年のナイジェリア教員養成所（ナイジェリア・ンドリ）、インド東洋保険会社ビル（インド・コルカタ）、1960年のBP社ナイジェリア・オフィス（ナイジェリア・ラゴス）など、アジアやアフリカの途上国で多くの建築作品を生み出しました。
その他、ピルキントン社中央事務所（セント・ヘレナ 1961年から1964年）、ベスナルグリーン、ウスク通り団地デザイン（ロンドン、デニス・ラズドゥンと、1955年から1958年）、ダウアクロケミカル社事務所（ノーフォーク/キングズ・リン、1960年）、ミッドグラモーガンの火葬場（1970年）などの作品があります。
M. Webb, Archkedure bz Brkabz Tbdhy,1969
JIR. Maxwell, New Brhh Architedure,1972.
* 季刊 「旅行人」 2004年 夏号
生涯
フライは、チェシャー州ウォラシー近郊のリスカードで生まれました。父親はカナダ出身のイギリス系移民でした。1923年にリバプール大学を卒業後、1927年に最初の妻エセルと結婚します。1933年には、アーサー・コーンが委員長を務めるCIAM（近代建築国際会議）のイギリス支部であるMARS委員会に参画し、共同設立者の一人となりました。1934年から1936年にかけては、ヴァルター・グロピウスの下で実務経験を積みました。
初期の作品は個人住宅が中心で、1935年には「セント・レオナルドヒル」「ウインザーヒル」などを手がけました。また、同年にはロンドンのハムステッドに「サンハウス」を設計しています。1936年には、傑作と評される「インピントン・ヴィレッジ・カレッジ」を完成させました。同年からは、1922年にフランシス・ロングスターズ・トンプソンと共同事務所を開設していた都市計画家トーマス・アダムスらと、「アダムス・トンプソン・アンド・フライ・アソシエイツ」を設立し、パートナーシップを組みました。
1935年から1939年にかけては、チャールズ・コンプトン・リードが計画していた南アフリカの鉱山入植地の都市コンサルタント業務を引き継ぎました。この間、1936年には「レヴィー邸」（キングストン/コービー、ニューマルデン）、「チッパーフィールドコモン」（ハートフォードシア）、そして「インピントン・ヴィレッジ・カレッジ」を手がけました。1937年には、ラドブロークグローブやエリザベス・デンビと共同で「ケンサル邸」（ロンドン・ケンジントン）を設計し、1938年にはロンドンのリージェント・ストリートに「エレクトリック・シティ」のショールームを設計しています。
第二次世界大戦中は、西アフリカに渡り、ロイヤルエンジニアと共にナイジェリアで地域計画に従事しました。また、イバダン大学の建築設計にも携わるなど、西アフリカにおける近代建築の先駆者として重要な役割を果たしました。この地で、後に妻となるジェーン・ドリューと出会いました。
1942年、ドリューと結婚し、建築設計事務所「フライ・ドリュー・アンド・パートナーズ」を設立しました。1944年には、ドリューがナイジェリアの都市計画に関する報告書を作成し、村落と交通機関の改善、そして西洋文明の衝撃に備えるための都市開発という3つの課題に焦点を当てることを提唱しました。また、大戦後の兵士帰還に伴う都市への集中を避けるための村落再開発にも力を入れ、予算も大幅に増額されました。フライもドリューとともに改善策や啓蒙活動を展開し、冊子などを刊行しました。
1946年から1973年にかけて、フライはドリューと共に熱帯建築に関する研究を進め、書籍を出版しました。また、ナイジェリアの大学やその他の建物の設計（イバダン大学の他、コーポラティブ・バンクなど）を手がけ、自らの報告書に基づいた都市開発や村落の再開発に取り組みました。
1950年代前半には、インド・パンジャーブ州の新しい州都チャンディーガルの都市計画・住宅設計に従事しました。ル・コルビュジエの協力者として、1951年から1954年にかけて現地に事務所を構えて設計監理を行い、コルビュジエに代わってチャンディーガルに住み、施設の設計・監理を担いました。同時期には、アフリカ各地の大学キャンパスの設計も多く手がけました（セントフランシス大学キャンパス（トーゴ）、アディサデル大学キャンパス、マウリ大学キャンパス、アブリ大学キャンパス（以上ガーナ）など）。
1951年には、ブリティッシュ・フェスティバルの会場を担当し、1953年にCBE（大英帝国勲章コマンダー）を受賞しました。1964年には王立英国建築家協会（RIBA）ゴールドメダルを受賞しました。
その後も、1956年の世界開発銀行（ナイジェリア・イバダン）、1958年のナイジェリア教員養成所（ナイジェリア・ンドリ）、インド東洋保険会社ビル（インド・コルカタ）、1960年のBP社ナイジェリア・オフィス（ナイジェリア・ラゴス）など、アジアやアフリカの途上国で多くの建築作品を生み出しました。
その他、ピルキントン社中央事務所（セント・ヘレナ 1961年から1964年）、ベスナルグリーン、ウスク通り団地デザイン（ロンドン、デニス・ラズドゥンと、1955年から1958年）、ダウアクロケミカル社事務所（ノーフォーク/キングズ・リン、1960年）、ミッドグラモーガンの火葬場（1970年）などの作品があります。
参考文献
M. Webb, Archkedure bz Brkabz Tbdhy,1969
JIR. Maxwell, New Brhh Architedure,1972.
* 季刊 「旅行人」 2004年 夏号
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