チャンパーサック王国

チャンパーサック王国の歴史

チャンパーサック王国（ラオ語: ຈຳປາສັກ, Champasak）は、18世紀初頭から20世紀にかけて現在のラオス南部に存在した王国です。この地は、かつてチャンパ王国の領域であったとされ、その後ラーンサーン王朝の支配下に入りました。

王国の成立

1694年、ラーンサーン王国のスリニャ・ウォンサー王の死後、王位継承争いが激化します。王女スマンカラーは、3000人の臣下と共にメコン川を下り、チャンパーサックにいた高僧ニョート・ケーオの保護を受けました。ラーンサーン王国のムアン・チャンは、ニョート・ケーオの一派を排除しようとしましたが、アユタヤ王国のサンペット9世の策略もあり、1713年にニョート・ケーオはチャンパーサックの分離独立を宣言します。これがチャンパーサック王国の始まりです。

独立後、スマンカラーの長女ノーカサット（シーサムット）が女王として即位し、1737年に亡くなると、長男のサイニャ・クマーンが王位を継承しました。この間、王国は平和を維持し、勢力を拡大していきました。しかし、1779年にトンブリー王朝のタークシンがヴィエンチャン王国とルアンパバーン王国を制圧すると、チャンパーサックにも軍勢を派遣し、シャムの属領となりました。

シャムの属領時代

1782年にシャムでラーマ1世がチャクリー王朝を樹立すると、チャンパーサック王国はシャムから大幅な自治権を認められました。1791年には、モン族のシェン・ケーオによる反乱が発生し、その最中にサイニャ・クマーンが亡くなりました。反乱はシャム軍によって鎮圧され、バーン・シンターに駐屯していたチャオ・ファイ・ナーが王位に就きました。その後、1813年にサイニャ・クマーンの甥であるチャオ・マー・ノーイが王位を継承しました。

チャオ・マー・ノーイと副王タンマキッティカの間で権力闘争が起こりましたが、シャムによって副王が解任されたことで混乱は収まりました。1815年には、超能力者を自称する僧オン・サーが住民を扇動してチャンパーサックの王都を占拠する事件が発生しました。この事件をきっかけに、チャオ・マー・ノーイはバンコクへ逃亡し、そこで亡くなりました。

1819年、ヴィエンチャン王チャオ・アヌウォン（セーターティラート3世）の子であるチャオ・ヨーが新たに国王に就きました。チャオ・ヨーは、城壁の修復や税制改革などで手腕を発揮し、名君として知られましたが、1827年に父アヌウォンが起こしたアヌ戦争に賛同して挙兵したため、タイによって逮捕され、バンコクの獄中で亡くなりました。1828年、シャムはアヌウォンの逮捕に貢献したチャオ・フィを王位に就かせましたが、チャンパーサックはシャムの直接支配下に置かれ、毎年貢物を納めるようになりました。チャオ・フィの死後、弟のチャオ・ナークが王位を継承しました。

遷都とフランスによる支配

チャオ・フィの治世下の1837年、チャンパーサックは大火に見舞われたため、王都をバーン・ヒートホート郊外に移しました。その後、コティタムトーンの治世下の1863年に再び遷都が行われ、メコン川西岸のポーンポックとラコーン寺の間に新しい都が建設されました。この時の遷都が、今日のチャンパーサックの基礎となっています。

1893年、ラオスを巡ってタイとフランスの間で仏泰戦争が勃発し、フランス軍が勝利したことで、チャンパーサックはフランスの宗主権下に入りました。1899年には、フランス領インドシナ連邦に正式に編入され、1904年以降は直轄植民地となりました。チャンパーサック王家は、王としての特権を剥奪され、フランス領チャンパーサック県の知事に任命されることになりました。初代知事には、当時の国王チャオ・ニュイがラーチャナダイと称して就任しました。

その後

タイ・フランス領インドシナ紛争の結果、1941年にメコン川西岸がタイに割譲されましたが、第二次世界大戦終結後に再びフランス領に戻りました。1945年にラーチャナダイが亡くなった後、ルアンパバーン王国を中心に統一ラオスを形成する流れの中で、チャンパーサック家の請求権者であるブン・ウムの処遇が問題となりました。最終的に、ブン・ウムは統一ラオスの終身王国総監の地位を与えられ、その傘下に入りました。

現在のチャンパーサック家の当主は、ケーオ・ナー・チャンパーサックです。

歴代君主

以下は、チャンパーサック王国の歴代君主です。

ノーカサット（シーサムット女王）（在位：1713年 - 1737年）
サイニャ・クマーン（在位：1737年 - 1791年）
チャオ・ファイ・ナー（在位：1791年 - 1811年）
チャオ・ノー・ムアング（在位：1811年）
チャオ・マー・ノーイ（在位：1813年 - 1819年）
チャオ・ヨー（在位：1819年 - 1826年）
チャオ・フィ（在位：1826年 - 1841年）
チャオ・ナーク（在位：1841年 - 1851年）
チャオ・プア（在位：1851年 - 1852年）
（空位：1852年 - 1856年）
カム・ニャイ（在位：1856年 - 1858年）
（空位：1858年 - 1862年）
カム・スック（在位：1863年 - 1900年）
チャオ・ニュイ（在位：1900年 - 1904年）

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