チャージ (紋章学)

紋章学におけるチャージ：フィールドを彩る図案

紋章学において、チャージとは、エスカッシャン（盾）のフィールドを占める図案のことを指します。これは、紋章のデザインにおいて非常に重要な要素であり、紋章全体の意味や個性を決定づける役割を果たします。

チャージの定義と種類

チャージは、動詞としても用いられ、例えば、エスカッシャンに3頭のライオンが描かれている場合、「3頭のライオンがチャージされている」と表現されます。また、チャージ自体にさらにチャージを重ねることも可能です。

チャージの種類は非常に多岐にわたり、動物、植物、物体、幾何学的な紋様など、あらゆるものが含まれます。紋章学に特有なチャージに加え、自然現象や神話、さらには現代の工業技術に至るまで、様々な分野のものが紋章に表現されています。

オーディナリー（主要図形）

古くから紋章に用いられてきた単純な図形は、オーディナリーと呼ばれ、チャージの一種として扱われます。オーディナリーは、「プロパー・チャージ」と呼ばれることもあり、その他のチャージは「コモン・チャージ」として区別されます。

チャージの例

動物：獅子、鷲など
獅子は、勇壮さの象徴として、紋章に頻繁に用いられます。イギリス王室の紋章に一貫して用いられていることでも知られています。
鷲は、ローマ皇帝の象徴であり、その系譜を受け継ぐ東ローマ皇帝、神聖ローマ皇帝、ハプスブルク家などで用いられました。また、アメリカ合衆国の国章にも使用されています。
植物：フルール・ド・リス（百合の花）など
フルール・ド・リスは、アイリスの花を模したもので、花のチャージの中でも最も頻繁に見られるものの一つです。

チャージの意義と注意点

チャージは、紋章に様々な意味や象徴性を付与します。しかし、チャージの後にその意義や趣旨、比喩などを紋章記述に加えることは、紋章学上の道徳に欠ける行為とみなされることがあります。

まとめ

チャージは、紋章学において、エスカッシャンのフィールドを飾る図案であり、紋章のデザインにおいて重要な役割を果たします。その種類は多岐にわたり、動物、植物、幾何学模様など、様々なモチーフが用いられます。チャージは、紋章に独自の意味と個性を与え、歴史や文化を伝える役割も担っています。

参考資料

森護 (1996年8月23日). ヨーロッパの紋章 ―紋章学入門― シリーズ 紋章の世界 I (初版 ed.). 東京都渋谷区: 河出書房新社. ISBN 4-309-22294-3
Wise, Terence (2001年9月26日) [1980年]. 中世の紋章―名誉と威信の継承. 鈴木渓 (初版 ed.). 東京都千代田区: 新紀元社. ISBN 4-7753-0001-6
Slater, Stephen (1999, 2004) (英語). THE COMPLETE BOOK OF HERALDRY. London, UK: Hermes House. ISBN 0-681-97054-5

関連項目

紋章学
紋章
旗章学

外部リンク

コウブチ紋章資料館
中世ヨーロッパの風景 「紋章について」
Dragon's Lair「ヨーロッパ紋章学」

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