チャールズ・デロング

チャールズ・デロング：激動の時代を生きた外交官

チャールズ・デロング（Charles E. DeLong, 1832年 - 1876年）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州出身の政治家であり、外交官です。彼は、西部での弁護士としてのキャリアを経て、国政へと進出しました。

生い立ちと初期のキャリア

デロングはニューヨークで生まれ、20歳になる前にカリフォルニアに移住しました。そこで鉱夫として働いた後、法律を学び弁護士となりました。1857年にはカリフォルニア州下院議員に選出され、2期にわたりその職を務めました。この時期に、彼は政治家としての足場を固めていきました。

日本駐在公使としての活躍

1869年（明治元年）から1874年（明治6年）にかけて、デロングは日本駐在のアメリカ公使として活躍しました。当初は弁理公使として赴任し、その後、特命全権公使に昇格しました。この間、彼は日本の外交に深く関わり、特に1871年（明治4年）に派遣された岩倉使節団に同行し、一時帰国する際には、使節団の通訳や様々なサポートを行いました。この時の詳しい状況は、久米邦武の著書『米欧回覧実記』に記録されています。デロングは、この時期にアメリカの中央政界での活躍を視野に入れており、駐日英国公使のハリー・パークスとは、対日外交においてライバル関係にありました。

条約改正への関与

デロングは、駐米日本代表の森有礼代理公使とともに、岩倉使節団副使の伊藤博文に対し、条約改正のための本交渉を開始することを強く勧めました。伊藤もその提案を受け入れ、大使の岩倉具視にその旨を伝えました。岩倉はアメリカ国務省のハミルトン・フィッシュ国務長官に本交渉の開始を申し入れましたが、残念ながらこの交渉は実現には至りませんでした。

デロングの外交における遺産

チャールズ・デロングは、激動の時代において、アメリカと日本の外交関係を築く上で重要な役割を果たしました。彼の尽力は、両国間の交流を促進し、その後の関係発展に貢献しました。彼の生涯は、外交官としての情熱と、国際関係における複雑さを物語るものです。

参考文献

田中彰『岩倉使節団『米欧回覧実記』』岩波書店〈岩波現代文庫〉、2002年12月。ISBN 4-00-600092-8。
泉三郎『岩倉使節団という冒険』文藝春秋〈文春新書〉、2004年7月。ISBN 4-16-660391-4。

もう一度検索