岩倉使節団

岩倉使節団の概要

発足と目的

岩倉使節団は、明治4年11月12日から明治6年9月13日までの約1年10ヶ月にわたって、日本からアメリカ合衆国およびヨーロッパの12ヶ国を訪れた使節団です。特命全権大使には岩倉具視が任命され、首脳陣や留学生など総勢107名が参加しました。この使節団の主要目的は、当時日本が結んでいた不平等条約の改正を目指すことであり、西洋文明の視察や友好関係の構築を進めることでした。

背景

使節団の出発前には、1870年から1871年にかけて普仏戦争が発生。これにより、欧州の国々の国際関係が変化し、日本もその中で新たな外交戦略を求めるようになりました。明治政府は、合法的な外交手段を用いるため不平等条約の改正が急務とされたのです。特に、1872年7月には欧米諸国との条約改正のための期限が迫っていたため、使節団の派遣はその意味でも重要な時期に行われました。

出発と旅路

岩倉使節団は、1871年11月12日、横浜港から米国太平洋郵船の蒸気船「アメリカ号」にて出発しました。まずはカリフォルニア州のサンフランシスコへ向かい、アメリカ国内を横断した後、ワシントンD.C.に滞在しました。その後、大西洋を渡り、イギリスを始めとしたヨーロッパ諸国へと旅を進め、英仏諸国といった先進国での長期滞在が続きました。

使節団は、1872年8月にはイギリスのリヴァプールに到着し、ロンドンを拠点にして各地を巡りました。この旅では、ヴィクトリア女王やドイツのビスマルク宰相との謁見も果たし、さまざまな国の文化や制度を視察しました。その後、帰国の途につくまでに、ベルギー、オランダ、フランス、ロシア、デンマーク、スウェーデン、イタリア、オーストリア、スイスと12の国々を訪問しました。

不平等条約改正の試み

岩倉使節団の目的の一つに、日本が締結していた不平等条約の改正がありました。当時の各国の元首との会談の中で、日本の立場を強化しようとしましたが、法制度やキリスト教禁教政策などの理由から大きな進展はありませんでした。特に、キリスト教徒の弾圧は条約改正における重要な障害と見なされ、使節団は日本政府に対してこの政策の見直しを求めました。

その結果、日本政府は1873年に禁教政策を撤廃し、キリスト教の信教の自由を認めるようになりました。これにより、国際的な信用を高める一助となりました。

帰国とその後の影響

明治6年の9月に帰国した岩倉使節団は、日本の近代化における重要な役割を果たしました。特に参加した留学生たちは、帰国後に政治や経済、文化や教育の発展に貢献し、多くの新しい知識や技術を日本にもたらしました。使節団の旅は、まだ成熟途上であった日本を西洋に繋げる重要なステップとなったのです。

この使節団は、明治政府の国家建設に多大な影響を与え、「遣唐使」に比肩する意義を持つとされています。彼らの経験は、日本が国際社会において当時の先進国と同等の地位を獲得するための基盤を築くことに繋がりました。

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