チュニジア王国

チュニジア王国は、1956年から1957年まで存在した、チュニジアにおける立憲君主制国家です。1705年に遡る王朝の歴史を持ちますが、独立後わずか1年で共和制へと移行しました。

歴史的背景

オスマン帝国の宗主権下にあったチュニジアは、地中海の要衝としてヨーロッパ列強の関心を集めていました。19世紀後半には、フランスが領土的野心を抱き、1878年のベルリン会議を経てチュニジアへの侵攻を開始。1881年のバルドー条約、1883年のマルサ協定によって、チュニジアはフランスの保護領となりました。これにより、国王（ベイ）は名目的な存在となり、実質的な統治はフランス人によって行われることになります。

独立運動と王国成立

20世紀に入ると、チュニジアでは独立を求める民族主義運動が活発化します。1907年には「青年チュニジア党」が結成され、後に「憲政党」、さらに「新憲政党」へと発展。新憲政党は、長期にわたる独立運動を展開し、フランスに対してチュニジアの主権確立を要求しました。このような民族主義の高まりを受け、フランス政府は1956年にベイであったムハンマド8世アル・アミーンを国王とする条件でチュニジアの独立を承認。独立運動を指導したハビーブ・ブルギーバが初代首相に選出され、「チュニジア王国」が成立しました。

王制の崩壊と共和制への移行

しかし、チュニジア王国は長くは続きませんでした。封建的な国王に対する国民の不満が高まり、独立からわずか1年後の1957年、王制は廃止され、大統領制を採用する「チュニジア共和国」が成立しました。初代大統領となったブルギーバは、1959年に憲法を制定し、社会主義政策を推進しました。

チュニジア王国の短い歴史は、オスマン帝国の衰退、ヨーロッパ列強の進出、そして民族主義の高まりという、複雑な歴史的背景の中で生まれました。その成立と崩壊は、チュニジアの近代史における重要な転換点であり、その後のチュニジアの政治、社会に大きな影響を与えました。

関連項目

オスマン帝国
ベグ
スルターン
チュニジアの大統領
* チュニジアの歴史

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