チリ地震 (2010年)

2010年チリ地震：巨大地震と津波の脅威

[2010年]]2月27日、チリ中部沿岸を巨大な地震が襲いました。この地震は、現地時間3時34分14秒（UTC 6時34分14秒）に発生し、その規模はモーメントマグニチュード]8.8と観測されました。これは、1900年以降のチリで2番目、世界でも当時5番目の規模を誇る巨大[[地震でした。

地震の詳細

アメリカ地質調査所（USGS）によると、震央はサンティアゴの南西328km、コンセプシオンの北北東107kmに位置し、震源の深さは35kmでした。地震の規模を示すマグニチュードは当初8.3とされていましたが、後に8.8に上方修正されました。太平洋津波警報センターも、速報でM8.5、M8.6と発表した後、最終的にM8.8と報告しています。日本の気象庁も同様に、当初Mj8.5と発表後、Mj8.6、そしてMw8.8へと修正しました。

東京大学地震研究所の解析では、震源断層の長さは450〜500km、すべり量は最大8mと推定され、Mw8.6と算出されました。これは、史上最大の1960年のチリ地震（Mw9.5）の断層長の約半分に相当します。この地域は、ペルー・チリ海溝でナスカプレートが南アメリカプレートの下に沈み込む場所であり、過去にもM8を超える海溝型地震が繰り返し発生しています。今回の地震も、同様のメカニズムで発生した逆断層型の海溝型地震でした。

この地震によってチリ沿岸の地盤が隆起し、チリの領土面積が1.2平方キロメートル増加しました。また、NASAによると、この地震の影響で地球が変形し、地軸が約8cmずれ、1日の長さが100万分の1.26秒短くなった可能性も指摘されています。地震波は地球を5周したことも確認されており、南極の昭和基地では、地震発生から98日間にわたり振動が観測されました。

余震

地震発生後も余震が続き、2010年3月17日までにMw4.5以上の余震が326回、そのうちMw6.0以上は16回発生しました。3月11日には、Mw6.9とMw6.7の余震が発生し、本震を上回る地震動が推定されています。

被害状況

チリ内務次官庁の発表によると、死者数は525人、行方不明者は25人に上ります。サンティアゴでは大規模な停電が発生し、チリやペルーなどで津波警報が発表されました。特にビオビオ州南部のティルア沿岸では、津波の高さが30メートル以上に達したことが確認されています。アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港も一部損壊し、一時閉鎖されました。

津波

太平洋津波警報センター（PTWC）は、地震発生後まもなくチリとペルーに津波警報を発令し、その後、太平洋のほぼ全域に警報を拡大しました。日本では気象庁が2月28日に津波警報を発表し、各地に津波が到達しました。特にチリでは、地震発生19分後にタルカワノに2mを超える津波が到達し、多数の犠牲者が出ました。この背景には、海軍の津波警報の遅れというミスがあったとされています。

各国の津波対応

ハワイでは、津波警報が発表されると迅速な避難が行われ、大きな混乱はありませんでした。フィリピンでは、2004年のインド洋大津波以降に津波対策が進められていましたが、財政的な制約もあり、更なる対策の必要性が指摘されています。サモアでは、住民は高台に避難し、オーストラリアでは、一部に避難勧告を無視してサーフィンをする人々が見られました。

日本の津波対応

日本では、気象庁が津波警報（大津波）を三陸沖に発表し、その後、各地に警報・注意報を発表しました。津波警報（大津波）の発表は1993年以来17年ぶりでした。気象庁は津波の予測が過大であったことを謝罪しましたが、最悪のケースを想定したものであり、判断ミスはなかったとしています。しかし、この地震での津波被害が小さかったことが、翌年の東日本大震災での油断を招いた可能性も指摘されています。岩手県や宮城県では、津波の痕跡調査が行われ、津波の高さを推定しました。

日本の報道体制

各テレビ局は、報道特別番組を編成し、津波関連のニュースを速報しました。NHKは、気象庁の記者会見を放送し、緊急警報放送に切り替えました。日本テレビは、東京マラソン中継を中断して津波情報を伝え、テレビ朝日やTBSも同様に、通常番組を中断して報道特別番組を放送しました。

地震の影響

チリ国内

地震の影響は、チリの経済にも及びました。銅の価格は、チリが世界最大の産出国であるため、一時的に急騰しましたが、その後、業務再開に伴い下落しました。ワイン産業も打撃を受け、主要ワイナリーが操業停止となりました。水産物では、養殖サケ事業が被害を受け、価格高騰の懸念が生じました。現地の日系企業も、鉱山が停電で操業停止するなど影響を受けました。

日本国内

日本では、人的被害は無かったものの、津波警報（大津波）が発表された地域で、漁業被害や道路の浸水被害が発生しました。鉄道の運休や道路の通行止めも行われました。また、青森県おいらせ町では、投票所が閉鎖され再投票となりました。航空自衛隊松島基地の固定翼機は、石川県の小松基地に避難しました。

各国の反応

地震発生後、各国は対策本部を設置しました。アメリカは、情報検索のための『Googleパーソンファインダー』と緊急電話回線を設置し、オバマ大統領は、ハワイとグアムの住民に注意を呼びかけました。アルゼンチン、イギリス、オーストラリア、コスタリカ、スイス、中国、日本、パキスタン、ペルー、ポルトガルなど各国から、弔意や支援の申し出がありました。日本は緊急援助隊派遣を準備しましたが、チリ政府の要請により見送られ、復興支援に重点を置くことになりました。

まとめ

2010年のチリ地震は、マグニチュード8.8という巨大な規模で、チリ国内に甚大な被害をもたらし、太平洋全域に津波警報を発令させるなど、世界中に影響を与えました。この地震は、地震のメカニズム、津波の脅威、そして災害発生時の各国の対応について、多くの教訓を残しました。

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